小さな青春
□*小さな青春*第4弾
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第33話
□勇気の休日サイクリング□
「わかってるの!?
君一人のせいで皆が迷惑するのよ!
やる気がないなら、学級委員を辞めるべきだわ!
…聞いてるの!?」
「るっせーよ!!
そんだけ喚いてりゃ耳栓してても聞こえらァ!!」
放課後──
生徒達が帰り始めた校舎の階段で、男女がモメている。
背中まで伸ばしたツヤのある黒髪と、清楚で美しい容姿が注目を集める─山本元と・・・
反抗的な程、重力に逆らって突っ立った逆毛の男子─東勇気である。
スタイルの良い体を無意識で見せつけるように、腕を組む山本に対して、勇気は目を合わせようともせず、ポケットに手を突っ込んで貧乏揺すりを繰り返す。
「ねぇ、その態度どうにかならないのかな?
非は君にある筈だけど」
「あ゙ー黙れ。お前の長い話チンタラ聞いてらんねぇんだよ」
「なっ…何よそれ──」
驚いて山本が言葉を切ったのも無理はない。
頭を抱える勇気の後ろに平然とした表情の玲夜と、その横にちびっこいのが姿を現したのだ。
勇気を見下ろす玲夜の手には、十字架の錺の付いたアクセサリーが握られている。
「悪い悪い、案外威力があったらしい」
いつものように反発してこない勇気の様子に、玲夜は苦笑いで背中を叩いた。
「テメェ…いずれ潰す!」
「その前にお前な。
山本に反論する資格ないから」
──