小さな青春
□*小さな青春*第5弾
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第45話
□激動? vs恵栄学院高校□
「ここが…恵学…!!」
鮮やかで堂々たる門の前でヘタレ部員たちの足はすくんでいた。
恵栄学院高校──
名声だけではない、この雄大なる汚れなき校舎…
試合を前にして、すでに初芽高校男子バスケ部員のムードは落ち込んだ。
「みんな、がんばって!
こわがっちゃダメ!
相手は同じ高校生なんだからさっ」
男子部員たちの後ろで、個人的に応援しに着いて来たヒナがとびっきりの笑顔で言った。
「おぉお…!癒しのエンジェル──」
「貴様ら!腑抜けた試合して恥さらしてみろ──
学校で晒(さら)すのは、恥じゃ済まん…貴様らの小さい、○ン○もだからな!!」
「(なぜエンジェル・ヒナだけでなく悪魔王・椎名まで……)」
ヒナの横で怒声を飛ばす椎名に、部員たちのテンションはガタ落ち……
だが、
「姉さん!俺はあんたのために勝利を捧げる!」
早戸のテンションはバリ上がりだ!
「(恵学かぁ…。
やっぱ…緊張するな)」
恐る恐る恵学の敷地内に入っていく部員達の一番後ろで、美月は雄大なる校舎を見上げて、やけに冷静だった。
「(高校入学の時は恵学に入りたくて必死だったな)」
『…十八(じゅうはち)…お前なら、恵学に入れる実力を持っているハズ─
先に行って待ってるぞ、オレに追いついてこい』
中学のとき、ある先輩に言われた言葉を、美月は思い出していた。
「(先輩…練習試合だけど来ましたよ……)」
決意を固める美月──
だが…
「ミツキ、試合には出れないけど…がんばって!」
「…ヒナ…ケガ人になにをがんばれって言うんだ……」
そう!!
あろうことか、美月は、試合目前となった練習中に足をくじいてしまい、今日の試合には出れないのだ!!