小さな青春
□*小さな青春*第5弾
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第46話
□新たな決意□
「どうでした?」
試合中、相手校の応援席にいたジローが自分の所へやって来るのを微笑みながら見つめて、御堂が言う。
「フン、オマエも試合は見ていただろう。
所詮“弱小校”だ」
ジローの言葉に、御堂はおかしそうに笑ったが…それは表情だけで、内心は笑っていなかった。
体育館から出ていく初芽高選手の落ち込んだ背中を見ながら、御堂が言い出した。
「確かに、私達が“見た”のは弱小校の初芽高校──
しかしながら、彼等には弱小ではない素質を持つ者がいる。
王座を脅かす、強い素質と信念を持った者─
気付いていましたか?」
「当然だ。
11番・内海健也─
アイツは…御堂、オマエが到着してから一度たりとも全力を出さなかったぞ」
「えぇ。筋肉の収縮と、張りの強さからそれは私も見抜きましたよ。
どうやら…彼“ら”は、本気で私たちとやり合うつもりのようです。
最強である私たちと」
「あぁ。その時はヤツラも本気でかかってくる。
あの11番だけでなく、ツン毛と…ベンチにいた二人……それから……
あ!」
「─?」
「しまった!忘れていた」
何事かわからない表情の御堂を置いて、ジローはピコピコハンマーを担いで風のように走り去った。
・・・
「おい!」
恵栄学院を去ろうとする初芽高選手の中でジローに声をかけられたのは…
「十八(じゅうはち)!」
「ジロー先輩!?」
試合にしろ何にしろ出番のなかった、役立たずのヘッポコ…美月だった。