小さな青春

□*小さな青春*第5弾
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第49話
□ホっ…ントに目が無ぇ□





「恋愛かぁ」


初芽高校、二年教室前の廊下──

「木賀先、ウチに──
“ウチの、木賀先への愛の大きさ”の測り方を、教えてください」

と言って、担任の木賀先にキラキラの視線を贈る学園のアイドル・川井鈴(かわいすず)…
を眺める一人の女子生徒がいた──


「ホント、お前って色気ないよなー!
足とか腕とかさ、ちぃとばかし筋肉つけすぎじゃねぇ?」

「ッ…! うっさい!!
だまれッての!!」


男子にからかわれ、女子生徒は思い切り怒鳴った。

そう─右分けした前髪を赤いヘアピンで止めた、黒髪ボーイッシュガール・井坂早紀(いさか さき)である。







「いいよねぇ…鈴は美人でさぁ……」

井坂家──

テーブルを友人と三人で囲んだ井坂は、テーブルに開いた教科書のうえに突っ伏した。


「鈴“は”ってオイっ!サカさん!
あっしもいますわい!」

美人の枠に入れてもらえなかった自称“ロリ高生の希望の星的ツインテーラー”皆川海波(みながわ みなみ)は、三人で勉強道具を広げたテーブルをちゃぶ台返しする勢いで立ち上がり叫んだ。


─今は、この三人のメンバーで月に数回行われる“勉強会”の真っ最中─
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