小さな青春

□*小さな青春*第5弾
154ページ/157ページ




第50話
□雛鳥もいつか高く飛ぶ□





「フラれた!?
ハッキリ言われたの!?
ウソでしょ…あのミツキが…!」


雛形家・ヒナの部屋──

ヒナからの衝撃の告白に、未来はまさしく衝撃を受けた表情で体から力が抜けていくようだった。


「…あのっ…バカ……!」


ツラそうで、怒っている様子の未来がそう言うと、体育座りのヒナは顔を埋めてすすり泣いた。



「…未来……! 私…もういいの…!
…もう…いいから……」

「よくなんかない!
あの…サイテーのミツキ!!
ヒナの気持ちを…何だと思ってるわけ!?
…絶対に…良いはずないじゃん!!」

「いいのっ…!!
……同じ人を、何人かが同時に好きになったら…想いが叶うのは一人だけで…あとは…叶わない。
私は…叶わなかった人なだけ」


ヒナは、涙を堪えてムリに笑って見せたが、それがまた未来の胸を痛めた。


「…それだけで…済んでいいはずないでしょ…!
ヒナがどれだけアイツを想ってたか…!
あたしにだって計り知れないくらいだったはず!
…なのに…アイツは何も知らないで!!」

「いいからっ!」


怒りを隠せない未来に、珍しくヒナが叫んだ。


「いいんだ……私…美月に想い、伝えられたと…思うし…。
私だけじゃなくて…美月にも恋があるから……。
私がワガママ言って美月のジャマをすることだけは…できないから……。
…私は…美月が幸せなら…それでいいから……」

「…ヒナ……でもあんたはっ──」

「未来……ごめんね。
…もう、帰って……。
ごめん…ありがとう──」






次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ