小さな青春

□*小さな青春*第5弾
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第41話
□十人十色な恋色□





「えぇえ〜〜!?」

「ヒナちゃん声大きい!」

「ごめんっ…!」


ヒナが声を静めると春夏は安心したようにため息をついた。


昨日、図書委員長に“まさか”の後押しをされて、春夏は密かに抱いてた自分の恋心に素直になるとヒナに告げていた。

場所は、朝早くの保健室。


「春夏ちゃんに好きな人がいたなんて知らなかったよ〜」

「うーん…あたしも実はよくわかってなくて──
憧れなのかな〜…って、思ってたの……で」


ガチャッ


保健室の扉が、勢いよく開け放たれた。

驚いて振り返る二人の目の先で、怒りの表情で立っていたのは・・・


「ミツキ……!!」

「にぃ…凍矢先輩!」


「春夏ぁぁぁ……
おまえ、いつの間に好きなやつが──」


「マズイ!春夏ちゃん、逃げてっ!!」

ヒナに言われるまでもなく、春夏は暴走し出した実の兄から逃げ出した。


憤怒の形相で追い掛けようとする美月の前にヒナが立ちはだかった。


「ヒナぁ〜…おまえに俺がとめられるとでも?」

「わ、私は…春夏ちゃんを応援してるから!
ミツキだからって…通すわけにはいかないの!」

「ふんっ、おろかな……子どもは家に帰ってぐっすり寝てろーー!!!!」





「唯…!」


魔神・椎名唯の足に踏まれて、美月は床に這いつくばっていた。


「カワイイ顔して中身はオオカミです、ってか?
よくもまぁ、ヒナに手を出そうとしたものだな、身の程知らずが。
貴様はアタシの足の下に居るのがお似合いだろう」

「なん…だと……!
人権侵害だ…!」

「すまんな。生憎、魔神であるアタシには人間の常識など通用しないんでな」


モロ人間の女性、椎名唯がそう言って歯をむき出しにすると、美月は無残にも意識を失った。


今更ながら説明するが、美月がヒナに飛び掛かろうとした瞬間、真横から椎名に強烈な上段蹴りを受けたのだ。


「(ミツキだから…襲われてもよかったのに…)」

と、ヒナは思ったとか。
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