小さな青春
□*小さな青春*第5弾
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第43話
□何てったってお嬢様□
眠れない夜は久しぶりのことだったろう。
自転車をこぐ、通学中のヒナは、フワっとした微サイドアップの新しい髪型を気に入ったが、その姿でいつもの学校に登校するのは不安で仕方ない。
未来にも言われ、少しは可愛くなれたかな──と思いつつ、もしも美月が昨日のように
『別に─さぁ?』
と興味のない態度をとったらどうか?
ショックで、もう…誰に何を言われても立ち直れないのではないか?
そんな不安が渦巻いている。
「遅刻するぅあー」
─朝のHRが始まるまで時間は少ない。
こんなにギリギリの時間で来たヒナには、理由がある。
『先にいるより、後から教室に入ってきたほうが視線集まるから!絶対!
だから、遅い時間にくるの!サイテーでもミツキより遅く!』
と昨日、未来に言われていたのだ。
しかし、それがまたヒナの不安を煽る……
クラスメートが大勢いる中を入っていって反応がイマイチだったら?
それこそ、ミツキにまで変な印象で見られて……と、以下略するしかないくらいひどいネガティブな思考になっていた……
ついに、教室のある階に来ると、不安が恐ろしいことになってきた。
昨日、妹の彩乃や母からは絶賛された──
しかし、今朝は自分で、この髪型をセットした。
何度も鏡を見直した。
変じゃないか、崩れてないか、何度も確認した。
未来にやってもらった時ほど完璧な仕上がりではないだろう──でも自分なりにはちゃんと出来た……はず……
教室に向かって一歩歩く度に不安は増大していく──
そして……