小さな青春
□*小さな青春*第5弾
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第44話
□バスケ部激動□
「我らが…初芽高校男子バスケットボール部は、来たる5月28日…
“恵栄学院高校”
と練習試合をすることが決まった!!」
5月の初め…
男子バスケ部の部長で、“キャプテン”こと木薮典(きやぶ のり)は…
部活を始める前に、部員達を前にして声高らかに叫んだ。
・・・・・・
『なにィィィィィ!!!???』
…間を置いて、信じ難い事実を飲み込んでから、男子バスケ部員達は声を揃えて絶望の悲鳴を上げた。
例外は、
アズマンパンこと逆毛の学級委員・勇気と、
猫っ毛猫背の低血圧人間・内海健也、
そして、今朝、倉見との面倒なやりとりがあって疲れ気味の…ミスター低テンション・美月だ。
「おいおいマジかよ…!」
「“恵栄学院高校”って言ったら…県下どころか全国bPの高校だぜ…!?」
「総体と選抜獲って2年ぶりのインターハイ優勝狙ってる…“恵学”!!
去年、県予選敗退のウチとはレベルが違いすぎるぅっ」
「何であんなトコとウチが同じ県……つうかなぜ練習試合!?
ボロクソにやられるのがオチだっ!!」
三人の例外を除く部員達はかなりのヘタレっぷりを発揮して見せた。
───
─恵栄学院高校バスケ部では…──
「練習試合?初芽高校?」
1000回腹筋の途中で、美月に似た容姿を持ちながら、筋肉質な体格の恵学バスケ部レギュラー…
“ピコピコハンマー”が愛玩具である“ジロー”こと夏目ジロー。
「らしいですよ」
バンダナを頭に巻いた、人目を引く美少年である副部長が言う。
「しかしながら、私たち…レギュラーには出番はないとのこと。
3、4軍の実力を測ると共に、留学生であるジェームズ君の実力を実戦で試すのが狙いのようです」
「ほう、オレにも出番はないということか。
…しかし…初芽高校とはどこかで聞いたような気が……」
ジローは考えている間、愛用のピコピコハンマーで自分の頭を叩き続けた。
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