小さな青春

□*小さな青春*第6弾
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第57話
□カラオケ戦争□





「日曜日?」

「そ、クラスの親睦を改めて深めるためにも、な!いいだろ!?」


金曜日の放課後───
荷物をまとめていた俺に、上機嫌の倉見がそう言った。


クラスの親睦とはよくいったもので、ただ単に自分が楽しみたいだけだろう。


「結構人数いるんだぜ!
駅の近くのカラオケ屋がな、今10人以上で来店すると料金半額らしいんだよ!」

「へー」

「ミツキも行こうぜい!ほら、うちのクラス大勢でカラオケって今までないしさ!」


確かに言われてみれば、イベント事は時々あったけどカラオケは今までない。

俺は、ちょっと良いかも・・・と思い、返事をした。


「うん、いいよ」

「マジで!
をっしゃーーまた増えたぜぇ!!」


倉見はますます機嫌をよくして、他のクラスメイトにも次々声をかけていく。


カラオケかぁ・・・
もう随分行ってないなぁ。
楽しみかもー。

そうして俺は、淡い期待を寄せるのだった。









日曜日───


「おーい!」

駅の近くにあるカラオケ屋は、うちの
家族も時々来店するところだ。


店に近づくと、先に来ていた連中が手を振ってきた。


「よっ」

玲夜だ。
なんていうか、俺からすると、モテるんだろうなーってカンジの服装の玲夜。
目立たず、地味でもない、嫌味なくカッコいい───そんな感じ。


俺はといえば、ジーパンにポロシャツという、ありがちな休日の格好。


「倉見がまだ来てないんだけど、今日何人くらい来るか聞いてるか?」

「さあ、聞いてないけど・・・
10人以上なんだとは思うけど」

「そっか。久々の遊びだし、多いほうが良いんだけどな」


玲夜は、もうすでに楽しそうだ。
普段クールな方だけど、玲夜はこういう遊びとかイベント事が大好きだ。

玲夜はノリも良いし、物事を大いに楽しむタイプなんだと知ったのは、去年クラスでボーリングに行ったときだった。


さて、回りを見回すと・・・
もう7・8人集まっている。
中にはうちのクラスじゃない子もいる。

倉見のやつ、大分声かけ頑張ったようだ。


「こんにちはー」

ヒナが来た。
初野も一緒だけど・・・

初野は相変わらずオシャレな格好しているが、ヒナは薄い長めのスカートに上はハートが描かれたシャツ。

なんか、みんな人柄が出るな。


「あ、ミツキ、津川くんこんにちは!」

「おう」

「おー・・・」

なんか、意識してしまって、まだ自然な挨拶が出来ない・・・。
でもヒナは気にしてない様子で、ニコニコしている。


「あれ、まだ唯ちゃん来てないんだ」

「椎名も来るのか?」

「うん、他にもケッコー来るみたいだよ!
他のクラスの子にも声かけてたみたいで!」

「倉見ガンバってんな」

「こういう遊びとか、エロには精力的だからね」

ヒナと玲夜の会話に、初野が入った。
何でか、初野も普段より楽しそう───
初野って、大人数で遊ぶの嫌がるタイプだと思ってたんだけどな。


と思っていたら、俺の心を代弁するかのように、玲夜が言う。

「初野がこういうのに来るって、新鮮だな」

「・・・悪い?」

「未来、カラオケ好きだもんね!」

玲夜の問いに初野が少し渋い表情を見せたところで、後ろから初野の両肩に手を回してヒナが言った。

玲夜が意外そうな顔をしたけど、俺も意外だ!


「月白くんが来るから、ていうのが大きいんだけどね?」

と、笑顔のヒナが小声で初野に囁いたが、それは俺には聞こえなかった。


その時俺は、新たにこちらに向かってきている二人に手を振っていたからだ。


「英知も来るなんて!優雅まで!」

親友の二人が来るなんて、俺は今の今まで全然知らなかったんだ!
玲夜と同じように、楽しそうにニコニコしながら周囲の友人知人を見渡す優雅と、俺に微笑みを向ける金髪美少年の英知。

玲夜に優雅に英知が来るなんて、俺にしてみれば素晴らしい面子だ。
この喜びを俺たち親友同士で分かち合い───

「英知くんこんにちはっ」

「ぐふ・・・」

「あ、初野さんこんにちは」

気がつけば俺がいた位置には初野がいた。
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