小さな青春

□*小さな青春*第6弾
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第51話
□揺れる美月□





「美月、コレ作ってきたから食べて?」


学校の大食堂─

いつものようにクラスで食事をとる中、ヒナは、自作の卵料理を詰めたお弁当を美月に差し出した。


あれから数日が経った。

ヒナは以前より積極的になっていた。
それでもまだオクテな方ではあるが…

美月と出来るだけ会話を取り、接したがった。

それでも、元来の優しさからか、美月が迷惑そうなそぶりを見せるとすぐに引く。

ヒナは、自然とそれができる性格ではあったが、美月の心を掴む魅力だった。


美月は“あのキス”の後ヒナを避けていたが、それも徐々に薄れ始めている。

とはいえ、その影響からか、逆に美月は
「何がなんでも山本と結ばれる!」
と意気込んだ。

…しかし、一度フラれている身…
中々想いは告げられない。


ヒナ・美月・山本
とてつもなく微妙な三角関係が築かれてしまった。

まぁ、そこに割って入る者もいるのだが……


「凍矢センパイ!
こんな庶民のペチャパイスッピン女の作る物じゃなくて、センパイにお似合いの…愛が作ったお料理を食・べ・て!」


気分によってリボンの色を変える薄紫髪のお嬢様・藍沢愛……

最近では、髪を飾りつけるリボンの色は、美月へのひたすらな愛情を象徴するようなピンク色だ。


「いや…あのさ愛ちゃん!!
だから、なんでこんなにメチャクチャなの!?
なんでっ…スクランブルエッグを白身と殻で作ってくるの!?」

「あ〜、愛ってば…今日は失敗しちゃった…
テヘッ」

「(なにが、テヘッだ…!
しかも、失敗してくるの毎日のことだし…!)」
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