小さな青春
□*小さな青春*第6弾
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第55話
□離れない□
「冗談じゃない」
2年6組の教室
隣を見る美月の目はひどく落ち込んでいた――
「こっちの台詞だし…!」
同じように、失意のどん底にいるような表情の未来が言う。
席替え、それは
ある者たちには希望を、またある者たちに絶望を与えるもの――
「おーし、んじゃあ今日からこの並びでやってくぞー。
次の席替えは夏休み明けな、よろしく」
教卓であくびをしながら木賀先が言った。
6月――2ヶ月先まで続く生き地獄を思って、美月と未来はため息をついた。
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「はあぁ………」
机に突っ伏した美月は、力ないため息を一つ。
「そのため息やめてくれないかい、耳障りだよ」
声の主に視線を向けて、美月は更なるため息をつく。
「君ねえ───」
「うっさい」
チャキっとメガネを上げる居鳥の言葉を遮った井坂は、同じく水色フレームのメガネを上げて居鳥を睨んだ。
居鳥と話す気になれない美月は、井坂に感謝しつつ、後ろの席の二人に再び背を向けた。
そのあとすぐ、後ろで居鳥と井坂の言い争いが始まったのは言うまでもないが。
そして美月は、前の席を見てまたため息を一つ。
席替えによって美月の前の席となった倉見透は、美月の隣の美少女にこれでもか!と積極的に声を掛けている。
しかし、ちょっと下ネタに走った途端、隣の魔王に手痛い一撃を喰らって腹を抱えてうずくまった。
そう───
美月と未来の前の男女は、変態倉見と・魔王椎名であった。
「俺、退学してもいい・・・」
「おーし、じゃあ新しく班分けすっぞ。
一班・・・倉見、椎名、凍矢、初野、居鳥、井坂」
「生き地獄だあああ・・・」