Maine 2

□「Christmas present」
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*    *    *




「さむっ……!な、なあラビ……やっぱり部屋戻んねぇか……?」



外に出てこれから歩き出そうとした時のティキの第一声がこれだった。



「何弱気なこと言ってんさ!今日は雪は降ってるけど、風もないしまだましな天候だろ。こんなんで弱音吐くなんて、男が廃るさ!」



「寒さに男も女も関係ねぇだろ……」



ぼそりと呟くティキの腕を、なんでも良いからとにかく行くぞ!とラビが強引に引っ張って歩き出す。ティキは仕方なさそうに、ラビの隣に並んで歩き始めた。



数分歩くと辺りには通行人も増え、賑やかな通りに出た。



この通りには、食品店から衣服の店まで大体の店がそろっている。ここならば料理に必要なものは全て手に入るだろう。



「えっと……、まずは何から買うんだ?」



「んー……、とりあえず野菜と果物だな。俺は野菜買ってくるから、ティキは果物な」



「果物って、何買えばいいんだ?」



「オレンジとリンゴ。2人分だから2・3個でいいぞ」



ラビの提案で、買い物は手分けして進めることになった。その方が効率が良い上早く済む。



「―――ティキ。ちゃんと買ってきたか、って!」



それぞれ野菜と果物を買って一度合流すると、ラビはティキの手荷物を見て目を丸くした。



「そんなにたくさん買ったんさ……!?」



ティキが持っていた買い物袋には、ラビが頼んだ以上の数の果物が入っていた。



リンゴとオレンジ、それぞれ5・6個はあろうか。



するとティキは、何やら苦笑いを浮かべて訳を説明した。



「俺が買ったのはラビが言ってた分だけなんだけど……、店の人が持ってけって」



「………、もしかしてそのお店の人……女の人さ……?」



「ああ。断るのも悪いから、もらっておいた」



やっぱりか……という表情で、ラビはため息を吐いた。



ティキが他人から物を余分にもらうのは、よくあることなのだ。



きっと全て、彼の美形のせいだろう。ラビはその事実に、いつも羨ましいような悔しいような複雑な気分になるのだ。それにも大分慣れつつあるが。



「……まあ良いさ。じゃあ次、ミルクと卵。ティキは卵な」

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