Maine 2

□「Christmas present」
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「了解。これも二人分な?」



ティキはいつものように微笑みかけて言うと、歩いて行った。



数分後には、やはり二人分以上の包みを持って戻ってくるのだが……。



「…………。もしかして……、卵ももらったんさ……?」



もう半ば呆れたような表情をして、ラビが聞いた。するとティキは、やはり苦笑して答える。



「さすがに断ろうとしたんだけど、どうしてもって言うもんで……」



「で、そこの店員もやっぱり女の人ってことか……」



「店主の娘さんらしい。なかなか可愛い女の子だったぞ。俺が店を出たすぐ後、なんか父親に叱られてたっぽい声が聞こえたんだけどな……」



勝手に店の品物を他人にただで譲ったりしたら、それは父親だろうと黙っていられないだろう。



出来れば、今日だけは店主の方に店に出ていて欲しかった……。



込み上げてくるため息を抑え、ラビは次の買い物をティキに頼んだ。



これを何度か繰り返したのだが、ティキはほぼ毎回頼まれた量よりも必ず多い荷物を抱えて戻ってきた。店の者が男だろうが女だろうが関係なく、おまけをくれるようだ。



「……ったく……、一体今日はどうなってんさ……!?なんでこんなに余分な荷物があるんだ!?」



「クリスマスだから、皆気分が良いんだろ、きっと」



多分、それだけの理由ではないだろう。実際、おまけをくれるのはティキの時ばかりだ。



ラビにはそれが納得いかず、今若干イラついている。



「ちょっと顔が良いからって、皆騙され過ぎさっ!俺なんかティキと同じだけ店まわってんのにゼロだぞ!?」



「別に顔とかは関係ないんじゃねえのか?ただ俺が行く店の奴が、丁度機嫌良いってだけで」



「……絶っ対違うさ!もう今度からティキは一人で買い物なんか出るな!」



不機嫌そうに言うと、ラビはフンとティキから顔をそむけた。



そんなに悔しいのだろうか……?



「ラビ、……何怒ってんだよ」



「………別に、怒ってなんかないさ」



ティキから視線を逸らしたままでラビがそっけなく答える。



怒っているというより、すねているといった声だった。



「じゃあなんでそっぽ向いてんだ?こっち見ろよ」



「……嫌さ」



「怒ってないんだろ?ならちゃんと俺の方見ろ」



ティキが顔を覗き込もうとするが、ラビは素早くそれをかわす。

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