Maine 2

□バレンタインのお返しは…。
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ティキラビ ホワイトデー小説 【バレンタインのお返しは…。】







カチャリ。



仕事から帰って来て、いつも過ごす部屋の扉を開ける。



ベッドとその傍らに小さなテーブル、それに窓があるだけの殺風景な部屋。



一番に目に入ってきたのは、ベッドに腰掛けて退屈そうに足をブラブラさせている一人の青年。



「ラビ、来てたのか」



その姿を見るなり、彼は嬉しそうに顔をほころばせる。



「あ、ティキ!お帰りさっ!」



ラビと呼ばれた青年はすぐに顔を上げて明るく微笑んだ。



いつ見ても笑顔が似合うよな、ラビは――――――



自分も微笑みかけながらティキは思う。



「ただいま。ずっと待っててくれたのか?ヒマだっただろ」



「まあな。待つって言っても、つい30分くらいだったしさ」



「そうか」と答えて、ティキはラビの隣に腰掛ける。



「……で、今日は」   「ティキは、今日が何の日か知ってるさ?」



問いかけようとするのをさえぎって、一寸先にラビが訊ねてくる。



そのセリフを前にも何所かで聞いたことがあるような気がして、ティキは首をかしげた。



「え……?今日……、何かあったか?」



「今日は3月14日。バレンタインデーからちょうど1か月経った日さ」



ラビの説明を聞いて一瞬納得したが、それでも重要なことはまだ聞いていない。



「ああ、そういえばそうだな。……でも、それがどうしたんだ?」



「えっ!もしかして、今日が何の日か知らないんさっ!?」



驚くラビを見て、ティキはなおさらどういうことか分からなくなった。



もしかして、自分は常識というものから外れているのだろうか……?



そう思って、今度はしっかりとラビに言う。



「悪いけど知らないな。ラビ、説明してくれ」



「あのな、さっきも言ったように今日はバレンタインデーから1か月が経った日だろ?今日は、バレンタインデーにチョコをもらった人が、相手にお返しをする日なんさ。ホワイトデーって、みんな呼んでるさ」



「……、へぇ……そうなのか……」



ラビの説明を聞いてやっと納得したようにティキは呟く。



そしてそこで、ラビが今日この部屋に来た理由を理解した。

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