Maine 2

□バレンタインのお返しは…。
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「……つーことは、ラビは俺にお返しをもらうために来たのか?」




「……まあ、具体的な理由はそれかな」



「あー……でも俺、ホワイトデーがあることなんて全然知らなかったし……、返せるようなものなんて何もないぞ」



「………///



そこでラビは何故か顔を赤くしてうつむいた。



その様子に気がついてティキがどうしたのかと聞いてみる。



「ラビ?」     「……あるさ」



ボソリと呟かれた言葉に不思議そうにティキが首をかしげる。



「返せるようなもの、あるだろ」



そこまで言うと、ラビはティキの方を向いて黙って目を閉じた。



「………??」



ラビの行動に、よく意図が理解できなかったティキは不思議そうにその赤い顔を見つめる。



しばらく待ってみてもラビはその姿勢のまま微動だにしない。



「……、ラビ……何してんだ……?」



沈黙に耐えられなくなって聞くと、ラビは目を開けて瞬時に顔を真っ赤に染め上げた。



「なっ、何って……、分からないんさっ!?///



ティキが素直にうなずくと、赤い顔のまま目を伏せるラビ。



心なしか、その瞳はうるんでいるように見える。



恥ずかしそうなラビを見て、やっとティキは理解した。



「ああ、……こういうことか」



呟くと、片手でそっとラビの顎を上げさせて静かにその唇に口付ける。



「んんっ……!」



ラビは驚いて一瞬目を丸くすると、ギュッと目をつむった。



さすがにティキは大人なだけあってキスが上手い。



毎回、まるでラビをエスコートするように自分から進んで舌を絡めてくる。



そんな彼に教わるようにして、ラビはキスのやり方を覚えていった。



「……はっ……ん……///



静かな部屋の中に、二人の吐息と濡れた音だけが響く。



それと時折、ラビがうっとりしたように発する声と―――。



「……、はぁ……っ」



しばらくすると、どちらからともなく唇を離していた。



ラビは熱いため息を吐くと、赤い顔をうつむかせた。



「……お返しって、これでいいのか?」



「…………///



ティキが問いかけると、ラビが黙ってうなずく。



するとティキは、口元にニヤリといやらしい笑みを浮かべて言った。



「キスだけじゃなくて、もっと気持ちいいお返し、してやろうか?」



それを聞いた途端顔を上げたかと思うと、ラビはティキをキッと睨みつけてその足を力いっぱい踏みつけた。



「べ、別にそんなの……いらないさっ!」



「照れるなよ。ほんとはシテ欲しいくせに」



「っ……!!///



ラビは恥ずかしさと怒りで顔を赤くすると、素早くティキの顔めがけてパンチをくりだした。



パンっとその拳を片手で受け止めて、なんなくティキは微笑む。



「だって、キスだけじゃ足りないだろ?初めてラビが、俺にプレゼントしてくれたんだし」



「…………///



握っていた拳を開いてそっと下ろすと、ラビは目を伏せた。



「ラビは、もう十分だって思うかもしれないけど、それじゃあ俺の気が済まないんだ。…ま、嫌なら無理して受け入れなくていいけどな」



「…………」



ラビが何も言わずに黙り込んでいる間、ティキも黙って待ち続けた。



「……、……まぁ、優しくしてくれるなら…イイけど…///



やっともらえた言葉に、あれ?と苦笑してティキは言う。




「俺が優しくない時なんてあったか?」




「……はぁ……、そんなのどうでもいいさ」



めんどくさそうに言って、ラビはティキに自分の身を預けるように寄りかかった。



その体をティキは包むように抱きしめ、にっこりと微笑んだ。



「ラビ」



「……ん?」



「愛してるよ」



「……んぅ……///



ラビは曖昧に返事を返して静かに目を閉じた。




そして一人こっそりと微笑む。




今日は3月14日、ホワイトデー。バレンタインデーのお返しをする日。



普通、返されるべきは形のあるお菓子だったりするけれど、その一言だけで十分だとラビは思った。



だって、自分はこんなにも嬉しくて、幸せなのだから――――――








❤Fin❤





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