Maine 2
□chapter3
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街のとある一室にて――――――
遠くに雨の音を聴きながら、俺はゆっくりと目を開けた。
いつの間にか、眠り込んでいたらしい。目覚めたばかりで頭がぼーっとしている。
……ここは、何処だ……?――――――
気が付いた所は、どうやら何処かの一室らしかった。
どうしてか、俺は自室でもない部屋のベットで今の今まで眠っていたのだ。
「…………」 寝起きでスッキリしない目をこすり、改めて部屋を見回す。
……、この部屋……見覚えがある気がする……。
ということは、何処かの宿泊施設……なんだろうか。
……なんだか、ここで目覚めた以前の記憶が定かではない。
嫌に頭がぼーっとしていて、働かないのだ。
「今……何時だ…?」
ふと目をやった窓の外は薄暗かった。どうやら、もうじき夜のようだ。
「どうしよう……」
とにかく、早く帰らなくては―――働かない頭で漠然とそう考える。
だが、異常をきたしているのは頭だけではなかった。
熱があるかのように、……体が熱い。
起き上がろうにもだるさを感じて、少しでも動こうと左に寝返りを打つ。
「……俺、病気なのか……?」
そして、ここは何処かの病院とか……?
どう考えても普通ではない自分の体に、俺は今更ながら困惑する。
まず、今までのことを何も思い出せないというのがおかしい。
多分、ただ単に頭がぼーっとしているせいだろうが……。
あれこれと考えを巡らせながら、俺はまたうつらうつらし始める。
再び重くなった瞼を閉じようとした時だった。
「やっと起きたか、青年」
部屋のドアが開く音とともに、そんな声が聞こえた。