Maine 2
□「Christmas present」
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クリスマス―――、それは特別な日。
何故なら、神様がこの世に誕生した日だから……?
――――――ではなくて、
一年に一度、大切な人と一緒に穏やかな時を過ごせる日。
―――そして、お互いにささやかな贈り物を贈る日でもある。
家族を持つ者たち、そして恋人たちにとって、クリスマスはかげがえのない大切な一日なのだ――――――
「Christmas present」
寒そうな街並みを、散りばめられた電飾がぼんやりと淡く照らしている。
12月25日、クリスマス当日。
きっと街の中を歩いている誰もが、気持ちを浮つかせていることだろう。
「……なぁティキ〜……」
窓の外でふわふわと舞っている雪を見ながら、ラビは退屈そうな声を上げた。
ソファに寝そべって一人読書をしているティキは、本から顔を上げずに「ん……?」と返事をする。
「ティキって、いつもこうなんさ……?」
「……何が……?」
一応答えてはいるが、まだ顔を上げようとしないティキ。ラビはつかつかとソファに歩み寄って、さっきよりも声を大きくして言い返す。
「だからっ……!毎年こんな調子かって言ってるんさ!今日はクリスマスなのに、ティキはいつも通りにただのんびりと過ごすだけなんさ!?」
「……、…まあ……そうだな」
短く面白味もない答えに、ラビは深いため息をついて肩を落とした。
「……ティキのファンが知ったら、聞いて呆れるさ……」
「ファン?俺にいつ、ラビ以外のファンが出来たんだ?」
ラビがなおもため息をつくと、「冗談だ」と言ってティキはやっと本から視線を外した。
「だって、他にどうすればいいんだよ?二人だけでパーティーでもするか?」
「そ、そこまでしなくても、もっと他に良い過ごし方ってもんがあるだろ!」
「例えば?」
問われ、一瞬息を詰まらせた後で考える。