Maine 2
□Poker Face
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黒が出るか、赤が出るか。
クラブが出るか、ハートが出るか。――――――それは誰にも予想出来ない。
欲しいカードが揃えば期待し、はずれては落胆する。
何度悪い結果になっても、人は懲りずにまた札の山に手を伸ばす。
吉と出るか凶と出るかのスリルを味わう。
――――――それが賭け事だ。
「Poker ♠ Face」
「……ん〜……、う〜……」
何かを悩んでいるようなうなり声が、室内に響く。
先程から、ラビは目の前の机上を見つめて何かを考えているようだ。
視線の先にあるのは、4枚1列に並べられたトランプである。
4枚1組でカードを並べていき、縦・横・斜めに同じ数字を揃えて省いていくという一人で遊ぶ方法だ。
どうやら手詰まって、何か策を考えているようだ。
が、結局何も思い浮かばなかったのか、ため息をついて全ての札を集め始めた。
「はぁ……、23回中8回しか成功できないなんて……、ツイてないさ……」
不服そうに言いながら、トントンと札の向きを揃える。
すると、今まで静かに本を読んでいたティキが顔を上げた。
「8回か……、今日のラビはトランプ運が無いかもな」
笑いながらそう言って、ばたんと本を閉じる。
ラビはそんな彼を見て、不満そうに唇を尖らせた。
「むー……、そんなの分かんないさ!もしかしたら、もっとダメな日もあるかもしれないし」
「そうだな。―――じゃあ一丁、試してみるか?」
ティキは意味ありげに微笑んで、ラビの向かいの椅子に座る。
試す、という言葉に、ラビは不思議そうに首をかしげて聞いた。
「試すって……、俺のトランプ運をか?」
「そう、俺とポーカーで勝負してな」
目を細め、にこりと魅惑的に微笑むその顔を見て、嫌な予感を感じた。
一つため息をついて、頭の後ろで手を組んだラビはうんざりしたような声で言う。
「どーせ卑怯な手使って、俺のこと負かせる気だろ?その手には乗らないさ」