Maine 2

□sweet kiss
1ページ/5ページ





ティキラビ・バレンタインデー特別小説 『sweet kiss』








「……む〜……、遅い……」



部屋の時計を見つめながら、ラビは不満そうな声で呟いた。



この部屋に来てから、もう一時間半はこうしている。



その時間をただぼーっと過ごしている訳じゃなく、ベッドに寝転がってみたり、本を読んだり、キッチンでコーヒーを作ってみたりと、一人で色々行動してはみた。



……だが、何をしている間も、結局落ち着かなかった。



「はぁ……。今日はやけに遅いさ〜……」



人を待つのとは、こんなに退屈でソワソワさせられるものなのかと改めて思う。



何度も待たされたことはあったが、今以上に落ち着かなかったことは無い。



その理由は、ただ彼が帰って来るのが待ち遠しいというだけじゃなく、今日のこの日がある特別な日であるからだ。



「……せっかく今年も持ってきてやったのにさ」



ラビは少し唇を尖らせながら、手に持っている包みを見た。



口を赤いリボンで結ばれた透明な包みの中には、ハートの形をした数個のチョコレート。



そう、今日は2月14日。バレンタインデーだ。



ラビが今日この部屋にやってきた一つの理由がこれだった。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ