Maine 2
□sweet kiss
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ティキラビ・バレンタインデー特別小説 『sweet kiss』
「……む〜……、遅い……」
部屋の時計を見つめながら、ラビは不満そうな声で呟いた。
この部屋に来てから、もう一時間半はこうしている。
その時間をただぼーっと過ごしている訳じゃなく、ベッドに寝転がってみたり、本を読んだり、キッチンでコーヒーを作ってみたりと、一人で色々行動してはみた。
……だが、何をしている間も、結局落ち着かなかった。
「はぁ……。今日はやけに遅いさ〜……」
人を待つのとは、こんなに退屈でソワソワさせられるものなのかと改めて思う。
何度も待たされたことはあったが、今以上に落ち着かなかったことは無い。
その理由は、ただ彼が帰って来るのが待ち遠しいというだけじゃなく、今日のこの日がある特別な日であるからだ。
「……せっかく今年も持ってきてやったのにさ」
ラビは少し唇を尖らせながら、手に持っている包みを見た。
口を赤いリボンで結ばれた透明な包みの中には、ハートの形をした数個のチョコレート。
そう、今日は2月14日。バレンタインデーだ。
ラビが今日この部屋にやってきた一つの理由がこれだった。