Maine 2
□プロローグ
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カチャリ。戸の開く音に、ラビは後ろを振り向いた。
たった今部屋に入ってきた彼は、ラビと目を合わせると途端に優しい微笑みを浮かべる。
「ああ、ラビ。来てたんだな」
部屋の戸を閉めると、彼は窓辺に立っているラビの方へ歩み寄る。
「悪いな、丁度留守にしてて」
「ティキ、……今帰って来たんさ?」
「そう。お前はいつからいたんだ?」
「少し前から。……帰って来るの、ずっと待ってたんさ」
ラビはそう言いながら、ティキに向かってやんわりと微笑んだ。
それを見て、ティキはラビの頭をそっと撫でた。
「そうか……。待っててくれてありがとな、ラビ」
ティキに頭を撫でられ、ラビは嬉しそうに笑う。
それからティキは、気に掛けるようにラビへ尋ねた。
「ここに来るまで寒かっただろ。具合が悪い所とかないか?」
「全然!そんなに寒く感じなかったしさ」
にっこりと笑ってから、ラビはぎゅっとティキの体に抱きついた。
「それに……、こうしてればあったかいし」
小さい子供のようなラビの行動に、苦笑しながらティキはその体を優しく抱きしめる。
「おいおい、今日はやけに甘えるな。そんなに俺に逢いたかったのか?」
「うん。逢いたかったさ」
素直にうなずくラビを見て、ティキは少し驚いた顔をした。
ラビが今までこんなに正直になったのを見た覚えがなかったからだ。