Maine 2
□story 1
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「……はぁ……はぁっ……」
全ての部屋を確認し終えて、ラビはやっとの思いで元居た部屋へと戻ってきた。
大きく息を弾ませながら、戸を閉めるのも忘れてふらふらとベットに歩み寄る。
と、ベットに辿り着く前に、ラビはその場にパタンと座り込んでしまった。
冷たい床の感触が、両足から痛いほど伝わってきた。
自分以外には他に誰も居ない部屋……。
ティキがこの場所には居ないと改めて分かって、途端に強い寂しさが胸の奥から湧き上がってきた。
……俺は今、こんな広い部屋に一人ぼっちなんさ……?――――――
大きな孤独を感じ、ラビの熱で潤んだ瞳にうっすらと涙が滲んだ。
一人でいることが、こんなにも寂しくて苦しいと思ったのは初めてかもしれない。
きっと、病気で心が弱くなっているせいもあるのだろう。
こういう時、やっぱり誰かが傍に居てくれないともっと症状が重くなるような、そんな気分にラビは付きまとわれた。
「あのバカっ……。こんな時にっ、……なんで居ないんさ……っ」
ゼェハァと息を切らしながら、弱々しくも棘のある声で呟く。
自分はこんなに辛い目に合っているのに、どうして彼は自分一人置いて行ってしまったのか。
もしかしたら、看病するのが面倒で逃げたのかもしれない。
悪い方へ考えを巡らせながら、少しでも楽になろうとベットに手を伸ばす。
だがラビとベットまでは少し距離があり、全く届かない。
その内、視界にある自分の手がぼんやりと歪んてきた。
「っ……やばい……」
身体が傾き、倒れそうになるのを床に手を付いて何とかこらえる。
体力も限界に近づき、意識を保つのが精いっぱいという状態だった。
……このままじゃ俺、いつ……床で寝ることになるか……――――――
やっぱりどうにかしてベットまで戻る方法はないかと、途切れそうな意識の中で考え出した、その時。
後ろで、誰かの足音が聞こえたような気がした。
その直後耳に入ってきたのは、驚いたようなティキの声。
「……ラビ!?何やってんだそんな所で!」
それを聞いた瞬間、ラビは一度ビクッと体を震わせた後、すぐティキの方を振り向こうとした。