Maine 2
□story 2
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「……なーにがずっと傍に居てやる≠ウ……、すぐ居なくなるくせに……」
ラビは不満そうに呟いて、大きくため息をついた。
そして、タオルがずり落ちるのも気にせず、部屋の戸が見える方へ寝返りを打つ。
少しの間、ラビはそのまま戸の方をじっと見つめていた。
まるで、ティキが戻ってくるのを待っているかのようだ。
ラビの想いが通じたのか、間もなくして戸はスッと開いた。
そこには四角いトレーを手にしたティキの姿。
「お、起きたかラビ。丁度良かったな」
「………?」
ティキの言葉に、不思議そうな眼をしてラビは彼を見上げた。
そんなラビにティキはにっこりと笑って、持っていたトレーをさらに持ち上げる。
「腹減ったかと思って、粥作ってたんだ。まあ、美味いかどうかは微妙だけどな」
「粥……?」
ラビは少し驚いたように目を瞬いた。
きっと、ティキが自分の為にそんなことをしてくれていたとは思ってもみなかったのだろう。
一方でティキは、何処か楽しそうな様子で枕元の小さなテーブルにトレーを置く。
「……本当に、器用な奴……」
「ん?なんか言ったか?」
ラビの呟きは上手く聞こえなかったようで、不思議そうにティキが聞き返す。
「……いや」
すっと目を逸らしてラビが小さく答える。
「そうか。―――起きられるか?」
その質問に、今度はうんとうなずくラビ。
「手、つかまれ。ゆっくりでいいからな」
ティキが差し出してくれた手を握って、ラビはゆっくりと上半身を起こした。
その後「楽な体制でいろ」と言われ、ベットの背もたれに寄しかかった状態に落ち着いた。
「よし。……粥、食えそうか?無理はしなくていいけど」
「……大丈夫さ」
答えるとティキは微笑みながら、そうかとうなずいた。
「じゃあ、冷めない内に食わないとな」