Maine 2
□story 4
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「病気だからとは言え……、無防備過ぎ」
ティキはそっと呟いておもむろに腰を上げた。
そして、そのままベッドの上に膝を付き、丁度ラビの上に馬乗りになっている状態になる。
さっきよりも近くでラビの寝顔を見ていると、早まってしまいそうだ。
眠ってる間に、襲っちまおうかな――――――
そんな風に思って、唇を重ね合わせようかとした時だった。
「んぅ………ん〜………」
ラビが眠そうにうなって、ゆっくりと目を開けた。
「あ……起きた」
思わずティキが呟くと、真っ直ぐにラビの目と視線が合った。
ラビは少しの間じっとティキの顔を見つめた後、怪訝そうに言った。
「………ティキ………?」
それから数回瞬きをすると、眠そうな声で続ける。
「なんで俺の上に馬乗りしてるんさ……??」
「いやぁ、それは……」
ティキは少し気まずそうにラビから視線を逸らした。
それを見ると、ラビは不思議そうな顔をしながらも目をこすった。
「……とりあえず、降りて」
ラビに言われると、ティキはすぐにそこからどいてベッドから降りた。
「ふわぁぁ……、よく寝たさぁ」
あー……、その仕草……可愛くて困る――――――
あくびで出た涙を眠そうに拭うラビを見ながら、一人思うティキ。
そのまま見つめていると、視線に気付いたラビが見つめ返してきた。
「……いつ帰って来たんさ?」
何気ない風に聞かれて、ティキは一瞬う゛っと息を詰まらせた後答える。
「ラビが寝静まってる頃に」
「もう夕方なんだけど……。具体的に何時間くらい前?」
まだ30分も経っていない。とは言えずに笑顔を浮かべながら言う。
「2、3時間前くらい……かな」
苦しい言い訳に内心冷や汗を流しつつ、それでもティキは表情を崩さない。
「……そうか。……俺、そんなに寝てたんだな」
時間を無駄にしたと嘆くラビにティキが言う。
「そりゃあもう、気持ち良さそうに寝てたぞ。俺が帰って来たのにも気づかないで」
「……ふーん」
ティキは「ところで」と、話題を逸らすように言った。
「体調の方はどうだ?少しは良くなったみたいか?」
「うーん……、どうだろう。今起きたばっかりだから、良く分かんないさ」
「そういえばそうだな。……ちょっといいか?」
笑いながら返した後で、ティキの手が優しくラビの額に触れた。
数秒ほど黙ってから、手を離してティキは一度うなずいた。
「朝よりは下がってるな。これだけ下がれば、もう大丈夫だろう」
「………へぇ、そう」
ラビは何故かどうでも良さそうな口振りで返事をした。
その様子に、ティキが不思議そうに尋ねる。
「ん?嬉しくないのか?せっかく良くなってきてるのに」
「まあ……、嬉しい……けど」
うつむき加減に言うと、そこでラビは黙り込んでしまった。
「けど、なんだ?」