Maine 2
□夢の記憶
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黒い自分と、白い自分。
何処か違う存在だが、どちらも同じ俺≠ニいう存在。
今までは両方を区別して生きてきた。
そしてこれからも俺は、そういう生活をしたいと望んでいる。
……だが、それが無理だとしたら。
二つある内、どちらかの生活を切り離さなくてはいけないとしたら。
黒い自分と、白い自分。
俺は……一体どっちを選ぶのだろう。
「夢の記憶」
………暗い。真っ暗で何も見えない。
明かり一つない闇の中、彼は辺りを探るように手を伸ばす。
なんの変哲もないはずだが、視界に映った自分の手は、まるでぼんやりと白く発光しているように暗闇でもハッキリと見えた。
………ここは一体、何処なんだ………?――――――
漠然と思いながら、今自分がどういう状況に居るのか考えてみるが何も浮かばない。
ひたすらに闇だけが広がるこの不可思議な空間に、ただ疑問ばかりが増えていく。
『……もしかしてこれ、夢≠ゥ……?』
呟いた自分の声は、気味が悪いほどに反響した。
だが、そう考えれば色々と説明が付く。
なら、早く目覚めてしまえばいい――――――
なんとなくこの空間に居心地の悪さを覚え、さっさと夢が終わることを願う。
『お前は何をやっているんだ?』
背後から聞き覚えのある声がして、彼は咄嗟に振り向いた。
『……え、……俺……?』
彼は拍子抜けした声で呟いて、不思議そうに瞬きをした。
そこで微笑んでいるのは、まぎれもなく彼自身≠セった。
相手の方は黒い燕尾服姿で、自分とは異なる格好をしているがその顔はどちらも同じだ。
……なんか、変な夢だな……――――――
もう一人の自分を見ながら心の内で呟く。