Maine 2

□夢の記憶
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『おいおい、夢だからって安心すんなよ?』



バカにするように笑いながら、もう一人の自分はこちらに歩み寄ってきた。



何もない空間に、コツコツと彼の足音が響く。



さっきよりも近い距離でその姿を見ると、黒い服を着ているのにやはりその体はぼんやりと白く発光していた。



『夢は夢でも、俺は幻なんかじゃないしな』



『………は?』



互いに手の届きそうな場所まで来て足を止めると、黒い方の彼はさらりと告げた。



言葉の意味がよく理解できずに白い方の彼は首をかしげる。



その様子に、ニヤリと笑みを浮かべながら黒い彼は続けた。



『この空間自体は、お前の夢が作り出した幻だ。……だが、俺はそうじゃない』



『……どういうことだ……?』



『俺≠ヘお前≠フ中にずっと存在していたんだ。元々お前と常に一緒に居た。……自分でも分かっていたはずだろう?己の中に、もう一つ別の自分が潜んでるってことを』



『それは………』



何も言い返せず、彼は黙り込んだ。



そこで黒い方の彼は、ふっとやわらかく笑って言った。



『ま、別に俺も責めるつもりはない。こうしてお前と話せることも、嬉しいと思ってるし』



『………………』



『………ただ、一つ気になる事があってな』



白い方の自分を見つめるその顔からは笑みが消えていた。



『お前、これからどうするつもりだ?』



低くて真っ直ぐな声に、白い彼はハッとしたように顔を上げた。



『どうするって、……何が?』



『エクソシストのアイツ≠ノ愛情なんか注いで、どうすんだって聞いてるんだ』



『………、ラビ≠フことか………』



ため息混じりに呟いて、彼は目を伏せた。



もう一人の自分が、いずれこの話を口に出すだろうということは、途中で気が付いていた。



そこはやはり自分≠ェ考えることなのか、こうなることは簡単に予想が出来た。



『分かってるよな、このまま歯向かい続けるとどうなるのか』



『……ああ、俺だってそんなこととっくに理解してるさ』

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