Maine 2
□chapter 1
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街外れにある森の中。
生い茂る樹々の上には、灰色の空が広がっている。
「……雨でも降りそうだな」
肌に冷たい風を感じながら、彼は上空を見上げ呟いた。
数時間前から、こうしてこの場所をさ迷っているが、同じような風景が続くだけで特に変わったことは無い。
「ほんとにこんなとこにあんのかなぁ……イノセンス」
さ迷う、と言っても本当に迷っている訳ではない。
ある探し物≠しに、彼はこの森へやって来たのだ。
だがそれ≠ヘいくら探しても見つからない。彼は面倒くさそうに深いため息をついた。
……仕方ない。今日は引き上げるか……――――――
そう思った時。……微かに人の声が聞こえた。
耳を澄ましてよく聞いてみると、ひっくひっくと小さな子供が泣いている声のようだった。
「…………??」
こんなとこに子供……?――――――
彼は疑問に思い、声のする方へと歩き出した。
注意深く辺りを見渡して、声の主を探す。
その内に、ポツリポツリと冷たい雫が空から降ってきた。雨だ。
あー……、やっぱり降ってきたか……――――――
そう思いながらも、彼はまだ周りを探している。
いつの間にか、声はすぐ近くで聞こえるようになっていた。
少しずつではあるが、確実に近づいている。
人間が通る道を少し外れ、その更に奥に立つ一本の大きな樹。
その根元にうずくまって肩を震わせている小さな姿を見つけた。
「……おい。こんな所で何やってんだ?」
彼はゆっくりと歩み寄りながら、その背中に声をかけた。
「ひっ………!?」