Maine 2

□chapter 3
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「あー美味しかった!あんなに美味しいオムライス食べたの、初めてさ!」



ベッドに腰掛け、満足げに笑いながら小さいラビが言う。



ティキと、大きい方のラビが試行錯誤して作った料理の味に、ご満悦な様子だ。



「気に入ってもらえて何よりだ。初めて作ったにしては、上出来だっただろ?」



「うん!ティキは天才だな!」



大げさだろと笑った後で、ティキはそういえばという風に小さな顔を覗き見た。



「俺、聞いてなかったよな?お前の名前。ラビ≠ナ良いのか?」



尋ねると、ううんと首を横に振って彼は答えた。



「違うよ、おれの名前はねぇ―――」



重要な部分が口に出される直前、戸が開いてラビが部屋に入ってきた。



その顔は、いやに真剣な表情を浮かべていた。



「ああ、ラビ。丁度良かった、今こいつの名前を聞く所で」



「仔ラビ」



ティキの言葉を遮り、表情を変えずにラビがそう言った。



他の二人がきょとんとしていると、何故か不満そうな声で話が続けられる。



「……子供の時の俺だから仔ラビ=Bそれで良いだろ」



「なんでさ……!おれにだってちゃんとした名前が……」



「仔ラビか……、分かりやすくて良いかもな。じゃあそう呼ばせてもらおう」



何かを察したように、ティキはラビに調子を合わせてうなずいた。



仔ラビは不服そうに唇をとがらせて小さくうなり声を上げた。



「む〜……、なんでティキまで……」



「まあまあ。こっちとしては、あんまりプライベートなことを聞くのも忍びねぇしさ」



「でもお前、未来の俺なんだろ?なら名前だって分かってるはずさ。なのに―――」



「あまり好きじゃない名前だからだ。それによっぽど今の名前の方が気に入ってるし」



好きじゃない名前≠ニ言われとうとう怒りだした仔ラビだったが、再びティキに宥められなんとか落ち着いた。



「……もう別にいいさ、その呼び方で。大きいくせに、わがままな奴さ」



「でも、お前もいずれ同じことを言う時が来るんだ。わがままな判断かどうかは、その時に決めたって遅くは無いだろ?」



「………、ティキがそう言うんなら……」

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