Maine 2
□A rainy day
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俺だって、好きでこの雨の街を歩いている訳じゃない。
本当ならば、今頃教団に戻って部屋で本でも読んでいるはずだった。
まさか任務を終えて帰ろうという時に、一人だけ駅のホームに取り残されるとは夢にも思っていなかったのだ……。
「……はぁぁ……」
その時の絶望感を思い出し、俺はさっきよりも深いため息を漏らした。
仕方ない、と割り切ったもののやっぱりショックは大きい。
少しでも気分を紛らわせようと次の汽車が来るまで街中を散歩することにしたのだが、一向に気分は晴れなかった。
「こんな雨の日じゃなぁ……」
いつもはもっと活気付いているだろう街並みは、雨のおかげで今日は寂しさすら滲んでいた。
そのせいで、俺の気分も沈んでいくばかりだ。
教団に帰ったら帰ったで自分の師や同行していた奴らに呆れた顔をされるのかと思うと、更に憂鬱になりそうだった。
「……だめだ。しばらく立ち直れねぇかも……」
ため息交じりに呟いて、雲で覆われた空を仰ぎ見る。
目的の汽車が来るまで、あと二時間半はある。
それまでこんな気持ちのまま過ごさなければならないのかと肩を落とした時だった。