Maine 2

□One self
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「One self」





午前12時。



夜の薄暗い部屋の中。



「っ………はぁっ……っぁ………」



絶えずに漏れるうっとりとした甘い声。



その声が聞こえる辺りには、熱気が満ちていた。



「……っあっ………ああっ………くっ」



暗闇の中、赤い色をした髪が独りでに揺れている。



……いや、髪だけが揺れている訳ではなく、一番揺れているのは……――――――



「あっ……、んっ………はぁ……っ」



ラビは腰を動かすのを一旦止め、熱い吐息を零した。



ひっきりなしに動かしていた手は、もう既に自分の蜜で濡れている。



半透明のその液体は、自身の体の他にベッドのシーツのそこら中を汚していた。



所々に、それらしいシミがあるのも伺える。



「……っ……ああっ……、は……っ……ん……」



自身を上下にこすりながら、再びリズミカルに腰を動かし始める。



ビクビクと体を反応させながら繰り返されるその動作は、なんとも淫乱だ。



彼の動きも、声も、表情も……全て、他人には見せられない程に恍惚としていた。



「ふ………あっ……、………気持ち……い……っ」



甘い吐息と声の中に、ふとそんな呟きが混じった。



それは一度だけではなく、まだ続く。



「っああ……っ、……ここっ………イイ……っん、……もっと………してっ……」



……まるで、姿の無い相手に会話を投げかけているようだ。



だが、この部屋の中には彼しか居ない、……はずだ。



「っく………ああっ……、……だめッ………も……出……ちゃうっ………っ!」



そう声を上げた前後から、手と腰の動きは一段と早くなっていった。



ギシっ……と、激しい動きでベッドが軋む音がする。



呼吸が早くなって、ぎゅっと目をつぶったかと思うと。



「っ……あっ……!ああっ………!!」



大きく体を震わせて、ラビは勢いよく飛沫を上げた。



相変わらず荒く、だがさっきよりも苦しげに息を切らす。



「………はぁっ……、はっ………はぁ……っ」



何処か満足げに大きく息をつくと、ラビは後片付けを始めた。



この工程は、ここ数か月の間もう何度も繰り返されている。



ラビが一人でこんな行為をするようになったのは、つい最近のことだった。



ただ性欲を持て余しているという訳じゃなく、ちゃんとした理由がある。

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