Maine 2
□A recollection
1ページ/18ページ
――――――……夢を見ていた。
それは、彼≠ニ初めて逢った時の記憶の一部。
懐かしい。けど鮮やかな思い出。
あの時感じたことでさえ、今でもはっきり思い出せる。
その感情が 罪だということも……――――――
「A recollection」
彼と初めて逢った場所は、汽車の中だった。
その時俺は、仲間にしたばかりのクロウリーを探して、車内を歩き回っていた。
汽車に乗るのが初めてだという彼に、車内の探検を進めた結果、それきり戻って来なかったのだ。
仲間のアレンと、一号車から順に探していくと、案外すぐに見つかった。
「悪いね。ここは今、青少年立ち入り禁止だよ」
「………………」
目の前の光景を見て、思わず呆然と立ち尽くす。
口元に笑みを浮かべた三人の男達。そしてそこに加わるように座り込んでいる、何故かパンツ一丁のクロウリーの姿……。
泣いている彼に訳を聞けば、この男達にポーカーに誘われ、疑いもせずにその誘いにのって完敗し、その代償だからと身ぐるみはがされたらしい。
哀れな経緯を聞いて、思わずため息が漏れる。
それから、アレンが自分の団服を賭けて、男達と勝負することになった。
なんだか、よく分からない展開になってきたな……。俺はそう思いながら、勝負の行方を傍らで見守ることにした。
「ううっ……。こんなことになって、すまないである……」
「そんな落ち込むなって!きっとなんとかなるさ!」
申し訳なさそうに謝るクロウリーを笑って励ましてやる。
事実、勝負はアレンの方に勝利が見え始めてきていた。
三人が協力して一人の相手を追い詰めるというずるいやり方が用いられていることは、見ていて分かった。それに全く屈しないアレンのイカサマはなかなかのものだ。
半分感心し、半分呆れながら俺はぼんやりとその光景を見ていた。
……ふと、男達の少し後ろの方に居る小さな子供と目が合った。
その子も俺と同じように、勝負の行方を見守っているようだった。
もしかして、こいつらの連れか……?
あまり身なりが良いとは言えない彼らは、どういう集まりなのか。
漠然と考えながら、彼らの方に視線を移す。と、