Maine 2
□Happy Birthday
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誕生日とは?
自分が、周りの者達から祝福されながらこの世に生を受けた記念日。
問われれば、誰でもそう答えるだろう。
大切な人と一緒に過ごしたい特別な一日――――――――
「Happy Birthday」
ガヤガヤと人々が談笑する音。
黒の教団内部にある食堂にはたくさんの団員達が集まり、賑やかだ。
周りの者達に絶えず笑顔を向けて話しかけられる度に愛想良く答えていたラビは、己の名を呼ぶ声に振り向いた。
ここいらでは珍しい白髪の少年と、同じ位の年齢の少女が笑顔で歩み寄って来る。
「おー、アレンとリナリー!来てたんか」
おなじみの仲間達に、ラビはいつもの明るい笑顔を零した。
「当たり前じゃないですか!ラビの誕生日パーティーなんだから、来ない訳ないでしょう?」
「とか言って、アレンは料理目当てだろ、絶対」
「それもあるだろうけど、でもアレンくんもちゃんとラビのお祝いしに来たんだよ」
同年代の三人は仲良さそうに会話を交わす。
しばらく他愛のない話をした後、白髪の少年―――アレンが思い出したように言った。
「あ、そうだ。一番大事なことを言い忘れてました」
その言葉にリナリーもうなずく。
二人は一度顔を見合わせると、ラビに向かって笑顔で言った。
「お誕生日おめでとうございます」 「おめでとう、ラビ」
「………、ありがとさ……二人とも」
祝福の言葉に、ラビは少し照れたように笑った。
その表情に微かに寂しげな色が混ざっていたことに、周りの者達は気づかなかった。
「ところで、ラビは今日でいくつになったんですか?」
「俺?19さ」
ラビが教団に来てからもう三年以上の月日が流れていた。
パーティー会場に居る者達とは、ほとんど顔なじみだ。