Maine 2
□Happy Birthday
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あくまでもブックマン後継者としての入団だったが、三年もの間留まっているせいですっかりここでの暮らしに馴染んでしまっていた。
今までこんなに長く同じ場所に留まったことはない。それ故に、またいつかこの場所を離れなければいけないと考えると、余計複雑な気持ちになるのだ。
仲良くなった教団の団員達と別れなければいけない寂しさもある。
が、ラビにはそれ以外にもここから離れたくない理由があった。
「19ですか……。それにしては成長しませんね、性格は」
「アレンも相変わらず毒舌だな」
「二人とも変わらないね」
軽口を叩きあっていて、ふと思ったことがありラビは問いかけた。
「あれ、そういえばユウの姿を見かけないんだけど、来てないのか?」
「神田?私も見かけてないけど……」
「え?神田ならさっきその辺に居ましたよ」
心当たりのあるらしいアレンが答え、辺りを見回し始める。
すると、すぐに目的の人物を発見し指を差した。
「あっ、居ましたよあそこに。おーい、パッツン神田―!」
アレンの呼び方に思わずくすりと笑うと、神田が少し遠くから鋭い眼差しをこちらに向けた。
いつもこのような調子だが、今日は一段と視線が冷たい。思わず全身の毛が逆立つ程だ。
呼ばれたのにも関わらず、神田はこちらに一瞥をくれただけでさっさと何処かへ行ってしまった。
「ったく、人が呼んでるのに感じ悪いですね」
「アレンくんがあんな呼び方するからでしょ?」
「ユウ、今日は一段と機嫌悪そうだったな……」
あいつも相変わらずだな、と内心で苦笑する。
「神田、どこ行っちゃったんだろ……。また見かけたら、ラビが呼んでたって言っとくね」
「いや、良いんさ。別に用は無いから」
笑ってそう答えると、リナリーは不思議そうな顔をして「そう?」と呟いた。
用事が無いのは本当だ。
ただなんとなく、一緒に戦う仲間達の顔を見ておきたかっただけだった。
アレン、リナリー、神田、クロウリー、ミランダ………――――――脳裏に団員達の顔が次々に浮かんでは消える。
仲間だとは言っても、それは一時だけの話だ。ブックマンとして次の場所へ行くことになれば、その時はもうただの他人同士だ。