Maine 2

□Your next door
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ラビが先に部屋に居たことを気付いているのかどうかは分からないが、今忍び足で自分の背後に近付いて来ていることには気付いていないようだ。



無防備だな……、とこっそり思ってほくそ笑む。



あと数歩という距離まで辿り着いた所で、靴を脱ぎ終えた彼が部屋に上がろうと振り向いた。



「わっ!」



こちらを振り向き終わる瞬間に、ラビは大きめに声を出し彼の体に思い切り抱きついた。



「なっ………!?」



突然のことに驚いた彼が、困惑した声を上げる。だがすぐにラビだと気が付くと、大きく息を吐きながら安堵したように言った。



「なんだラビか……。誰かと思った……」



「へへっ、びっくりした?」



自分の悪戯に引っかかった彼に、ラビはしてやったりと笑ってみせた。



「びっくりしたよ。来てたの知らなかったから」



「あはは、ごめんごめん」



ラビが笑いながら謝ると、彼も苦笑を返す。



そんな二人の姿は、とても仲睦まじく見えた。



楽しげに笑った後、ラビは彼の顔をじっと見つめて愛おしそうに微笑んだ。



「お帰りさ、ティキ」



ティキと呼ばれた彼も、にっこりと優しい笑みを浮かべて答えた。



「ああ。ただいま、ラビ」



ラビは「うん」とうなずいた後、やっと体を離した。



さっきまでずっと一人で寂しい思いをしていたせいか、出来ればずっと抱きついていたかった程だ。



「今日は遅かったな。また仕事長引いたんさ?」



「そう。もう帰れるって思った時に、運悪く顔見知りのお偉いさんに捕まっちまってさぁ」



厚手の上着を脱ぎながらティキがため息混じりに訳を話した。



顔も性格も良い彼は、男女関係なく誘いを受けることが多い。



毎回愛想良く振る舞って切り抜けているようだが、今日は相手が自分より目上の人ということもあったからか、かなり疲れた様子だ。



「晩飯は?何処かで食べてきたんさ?」



気になっていたことを尋ねると、思っていた通りの答えが返ってきた。



「ああ、ちゃんとな。その人にそのまま付き合わされてきたから」



捕まった相手に、ディナーに誘われたらしい。連れて行かれた所は高級レストラン。もちろんその相手のおごりだったという。



あっちが誘ってきたんだから当然、と言ってのけるティキに、ラビは苦笑するしかなかった。



「……で、ラビはいつから部屋に居たんだ?」



「昼過ぎの12時位からかな」

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