Maine 2
□Trick or Treat…?――仔ラビちゃん編――
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「………!そうだ!」
しばらく考えた後、仔ラビの頭の中にひらめくものがあった。
「ん?何か思いついたか?」
一緒に考えていたティキが、期待を込めて聞く。
「未来のオレが怖がりそうなもの、分かったさ!あのね………――――――」
子ラビは喜々とした表情で、今思いついたことをティキにこっそり耳打ちした。
数時間後――――――黒の教団本部
「はぁ……、やっと終わったさぁ〜今日の仕事」
本日の自分の仕事、先日行った任務の報告書を作成し、それをたった今提出し終えたラビは、歩きながら大きく伸びをした。
時刻はもう夜の9時をまわっている。夕食もとうに済ませたので、あとは特にすることも無く、早めに寝ようかと自室へ向かっていた。
「……そういえば今日は西方の国ではハロウィーンだな。今頃子供たちはたくさんお菓子もらってるんだろうな〜」
ぼんやりとそんなことを思いながら、ラビはいつものように部屋の戸を開けた。
そこには普段となんら変わりない、散らかりに散らかった自室の光景があるはずだった、……のだが。
「………!?!」
室内が目に映った直後、ラビは驚いて思わず戸を思い切り閉めた。
「なっ……、何さ今の……?!」
混乱しながらも、もう一度……今度はそぉっと戸を開けて中を見た。
……やはり、居る。何故か、燕尾服を着た鹿がベッドに腰掛けている。
ソレは、ぼんやりとただ前を見つめていたのだが、ラビが見ていることに気がつくと視線をこちらに向けてきた。
『何……!?なんで鹿≠ェ、俺の部屋に居るんさっ……!?!』
突然の侵入者に、部屋の主はその場で固まるしかなかった。
鹿≠ヘじっとラビの方を見つめた後、すっくと立ち上がった。いきなりの行動に、ラビがビクッと肩を震わせる。
動けないでいる間に、鹿≠ヘなんとこちらに走り寄ってきた……!ベッドから入口までは、それほど距離もないのに。
「うわあああっ!!来るなああっ!!!」
恐ろしさに声を上げ、気がついた時には手がとっさに装備していた武器を掴んでいた。