Maine 2

□snow kiss
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早めの足取りで歩を進めていけば、すぐに自室へ辿り着く。ラビはさっさと部屋の中に入り、扉を閉めた。

「………デート、かぁ………」

ばふっと二段ベッドの下段にダイブした後で呟く。

改めてデート≠ニいう単語を口にすると、こそばゆい感じがして、でも嬉しいのは紛れもない事実で。

わざわざデートと言わないで遊びに行く、という表現の方が気軽な気はするが、単に自分が気恥ずかしいだけであって文句がある訳ではない。

逆に、デートだと断言してくれる方が、自分達の関係は恋人同士≠ネのだとはっきり認められている様で、それはそれで嬉しくなった。

実際、二人で一緒に出掛けることは年に何度もあるが、それをデートだと意識したことはあまりなかったのだが……。

「っていうかアイツ、なんでドイツなんかに居るんだろ……?」

本人は仕事だと言っていたが、詳しい理由は聞きそびれた。

まあ何でもいいか、と開き直って寝返りを打ち目をつむる。

すぐ数日後に見るクリスマス一色に染まった輝かしい景色を想像していると、顔がどうしてもニヤけてしまう。

もちろん、彼と一緒にその光景を見られる前提での想像だった。

「クリスマスのイベントなんて初めてさ……!実は一度行ってみたいと思ってたんだよな〜!」

今から楽しみで仕方がなくて、小さな子供の様に早く土曜日にならないかな≠ニ考える。

何となく、さっきの彼との会話を思い返した所で、ラビは「あっ」と声を上げた。

「そういえば行く日と時間は決めたけど、待ち合わせ場所のこと忘れてた……!」

あ゛あ゛あ゛……と頭を考えながらも、もう一度連絡を取る為にベットから身を起こす。

また、あの寒い廊下で話し込まなくてはならないのか……。そんなウンザリとした気分になりながらも、大事な約束の為に再び部屋を出るしかないのだった。





* * *





四日後。ドイツ・ハンブルク――――――

「ッ!寒っ……!」

記者を降りると共に、冬の寒さが一気に襲い掛かってきた。さっきまで居た車内が温かかったから、感じる冷気も半端ではない。

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