Maine 2
□bitter chocolate
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ティキラビ・バレンタインデーミニ小説 『bitter chocolate』
「……ん〜……、ちょっと苦かったかなぁ」
自分で作ったチョコレートを一つ頬張って、ラビは微かに眉をひそめた。
「もう少し、甘さを足した方が良かったかも……」
「そうか?甘過ぎず苦過ぎず、俺には丁度良い味だけど」
俺は思ったことをそのまま口に出す。
すると、ラビは苦笑しながらうなずいた。
「……まあ、ティキがそう言うんなら良かったさ。俺はもっと甘い方が好きだけど」
何気なく自分の好みを呟くラビ。
以前好きな味付けの話になった時、辛いのや苦いのよりは甘い味の方が良いと言っていたことを思い出す。
本当かどうかは分からないが、なんでも、甘い物を食べると頭が働きやすくなるのだとか。
よく書類などを書くラビにとっては、都合が良いのかもしれない。
「………このチョコレート、俺が甘くしてやろうか?」
二粒目を口に入れるラビに、俺はそんな提案を持ちかけた。
「えっ……、どうやって?」
ラビが興味ありげに聞いてくる。
この好奇心が強い性格は、見ている方も楽しませてくれる。
何にでも興味を持つことはもちろん良いことだが、時にはその興味が思わぬ展開を引き起こすということを、ラビは知っているのだろうか。
「すげぇ簡単な方法だ。……目を閉じてみろ」
「うん………」
ラビは俺の言う通りにすぐその目を閉じた。
本当に、素直で良い子だ――――――
心からそう思って、そっと微笑む。
そして、目を閉じたままのラビの唇に、黙って口付けた。