Maine

□entrance
1ページ/18ページ






不機嫌な雲を上空に並べた街。聞こえるのは時折吹く風と、さぁーっという雨の音だけ。




辺りはこんな天気だからか人通りも少なく、やけに静かだ。




少し用事があって、俺はこの街を訪れている。それはほんのささいな用事だった。




その用事も済み、今は帰ろうと教団に向かおうとしている所だ。




このまま真っ直ぐ戻ればいいはずなのに、初めて来る街並みに好奇心がうずく・・・。




なんせこの街は路地が多い。それぞれ一体、何処へ向かう道なのかは良く分からないが。




好奇心とともに冒険心までうずいて、俺は路地に入っていくつか角を曲がってみた。




誰もいない細い一本道を、灰色の空を見上げながら歩く。




それは俺にとって、ささいな寄り道のはずだった。




少しくらい遅くなったって大丈夫だろう。俺はそう、思っていた。












次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ