09/28の日記
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9/27 ジョセ&ブチャ誕!
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※時代錯誤やムーディ・Bの能力について、細かいことを気にしちゃあいけない。
控えめなノック音に、ジョセフの意識は現実へと浮上した。
リモコンを手にとりビデオを巻き戻す。声をかけると重い音をたてて扉が開かれた。まだ仕事をしていたのだろうか、姿を見せたのは若いギャングの幹部だった。
場所はニューヨーク、ジョセフ・ジョースターの屋敷。
ある人物を追っていたブチャラティは、ジョセフのハーミット・パープルの能力を借りるため、ここに訪れていた。
「部屋から声が聞こえたので、気になってしまって」
お邪魔でしたね。そう謝りながらもブチャラティはジョセフのいるソファへと近寄った。ジョセフは隣のスペースを空ける。日付はすでに変わっていた。二人分の重みを受け、ソファのスプリングがぎしりと音をたてる。
「なに、寝る気になれなくてな。ブチャラティ君は仕事かね?」
「俺もです。まだ寝ていたくない」
微笑みを伴うその言葉に、ああとジョセフは納得した。今日……いや、昨日は彼にとっても特別な日だったのだ。
静かな夜だ。聞こえるのはビデオテープが巻き戻る小さな音だけ。灯りのない部屋は酷く寂しく感じられる。二人は言葉を交わすことなく、ただ真っ黒なテレビ画面を眺めていた。
カチリ。巻き戻しが完了した。ジョセフは再びリモコンを手にとり、ビデオを再生する。
途端に部屋に広がる、様々な光とたくさんの声。
『お、これ撮れてる?撮れてる?おーいじじい、聞こえてんのかよー』
『ばっかちけーよ仗助!俺らが映らねーだろ!』
『お久しぶりですジョースターさん』
『はぁいおじいさん、元気かしら?』
『もしもしジョセフさん?応答してくださーい』
『さっさと並ばないかスカタン共。全員が入らないと意味ないだろう』
『フフフ、元気があるのはいいことですネー』
『よし、いくぜ!いっせいのーで、ハッピーバ』
『コラァ仗助!うるさいわよ、いま何時だと思ってるの!』
『空気読めよババア!いますっげー大事なとこだったんだよ!』
「いい人たちですね」
「ワシの自慢の家族じゃからな」
スピードワゴン財団が気をきかしてくれたという、誕生日を祝うビデオメッセージ。だが肝心の言葉はなかなか聞こえてこない。画面の中でぎゃあぎゃあと小づきあいの喧嘩を始めた家族の姿を、しかしジョセフは優しい目で見守っている。
「妻にはすまないと思っている。朋子にも寂しい思いをさせた。それでもワシは、あの子たちに出会えて本当によかったと、感謝したいんじゃよ」
「……はい」
左の義手をそっと撫でる、シワだらけの手。たよりなさげなそれが、ブチャラティにはとても輝かしいものに見えた。
すると、部屋にぼんやりと一つのヴィジョンが現れた。紫色をした、アバッキオのスタンド――ムーディ・ブルース。ジョセフの疑問を受け、ブチャラティは嬉そうな笑みを浮かべる。
「俺にも届いたんですよ、メッセージ」
カシャカシャと巻き戻しを始めるスタンドは、やがてゆっくりとその姿を変えていく。幾人もの人間が形成されると、それらは一斉に声をあげ始めた。
『ちゃんと再生できてるか?ブチャラティ』
『こんな大切な日に仕事なんて、ちょっと残念だけど。帰ってきたらパーティーしましょうね』
『祝杯をあげましょう!もちろんアバ茶で!』
『ぎゃっははははは!それサイッコーに楽しいぜーきっと!』
『アバ茶ってなんですか?』
『ただの紅茶だ!……てめぇジョルノ、後で覚えとけよ』
『おいブチャラティ、ベリッシモうまいぜこのワイン!』
『はやく来ねーと俺らが全部飲んじまうぜぇ?しょうがねぇよなぁ!』
『さあ食って飲んで騒ぐぞてめーら!』
『あなたたちね、こんな時くらい大人しくできないんですか!?』
「いい子たちじゃ」
「俺の大切な家族ですから」
出張に出た自分のために、わざわざ遠い異国の地にまできてくれたスタンド。まるで宴会のように騒ぐ彼らからは、やはり祝杯の言葉はなかなか聞こえてこなかった。ただ飲む口実が欲しいんですよ、そうブチャラティは苦笑した。
「全うな生き方なんてできやしない、一度は殺しあった奴らだけど。いまはそんなこと忘れてしまうくらい、あいつらといると楽しいんです」
「そうじゃな」
クスクスと肩を揺らしてブチャラティは笑う。きっと彼はこれから先も、こうして笑うことができるのだろう。彼の家族を見て、ジョセフの唇も同じように弧を描いた。
静かな夜はすっかり消え、たくさんの声が部屋に響く。聞こえてる?今日は特別な日だから。お祝いを。ジョセフ。ブチャラティ。誕生日おめでとう。おめでとう。ありがとう。生まれてくれてありがとう。出会ってくれてありがとう。助けてくれてありがとう。笑ってくれてありがとう。ありがとう。
「この年になってまだ誕生日を祝われるなんて」
「隣にじじいがいるんじゃぞ?若い者は素直に喜んでおきなさい」
再生が終われば、このたくさんの音たちは消えてしまう。また夜の世界が訪れる。それでも決して寂しくはない。
目を閉じ耳を澄ませば、いつだって彼らの声は届くのだ。
「Happy Birthday、Blono Bucciarati」
「Buon Compleanno、Joseph Joestar」
完。
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ジョセフ、ブチャラティお誕生日おめでとう!二人共大好きです!幸せになれ!
やはり二人に共通しているのは家族かな、と思って書いてみたけどいろいろ間違えてる気がします。きっとこのムーディは成長したんですよ。人単体ではなく、複数の人間を対象にして再生できるようになったんです。
……そういうことにしませんか、アバッキオさん。
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