10/23の日記

01:50
5/アンナベッラは余命十ヶ月の恋をした
---------------


 なあ聞いてくれよ。昨日ソルベとテーマパークの先着1000名様限定チョコレートパフェ食べに行ったんだ。ソルベがチケット買ってくるって列に並んだんだけど、会計のところでずっともめてたんだ。どうしたんだろーって思ってたらあいつがぼったくりだの金の亡者だの騒いでるんだ。

 トラブルでもあったのかなって駆け寄ったらさ、ソルベに思い切り肩掴まれて。受付のオネーサンに向かって何て言ったと思う?ジェラートは頭の中が中学生だから入場料まけてくれって言ったんだぜ!僕は久々に引いたね!テーマパークの限定デザートのために!大の大人が!チケット料金も渋って出さないんだ!情けないやら恥ずかしいやらで思わず笑っちゃったよ!

 まあそんなところがあいつのいいところなんだけど。結局ソルベの粘り勝ちさ。でもパフェはそこまでだったな。ただキャラクターのクッキーがのってるだけ。ぼったくりっていうのはああいうのを言うんだろうな。

 あと新しくできたカフェテリア。あそこは外れだぜ。まず店内が不衛生。店員もブスばっか。ドルチェの種類だって少ない。食べるまでもなく不味いとわかった。ああいう店はね、すぐチンピラに荒らされて閉めるんだ。僕が潰してやってもいいんだけど、勝手なことするとリゾットに怒られるんだよ。

 でも駅三つ過ぎたところにパールがあるだろ?あそこに常連にしか開けないワインがあるんだけど、この前任務でマスターを殺しちゃったからさ、誰もいないしいいかなーってもらったんだよ。まだ残ってるからお前にもあげる。そこそこの味だぜ?あの店にしてはだけど。

 あー喋ってたらお腹空いたや。今日のディナーは何かな。担当は……げ、イルーゾォだ。あいつ料理ヘッッッッタクソなんだよ。キッチンに立つだろ?その十秒後には爆発音がするからな。フライパンを温めるだけでコンロ爆発とかありえねーよ!お前は人間かって小一時間問い詰めたいね!僕がせっかく料理教えてあげたのに。ソルベの腕を磨いたのも僕なんだぜ?それなのにあのヘタレは……。

 にしてもソルベってかっこいいよな。料理洗濯掃除何でもできるし。背高いし。細いのに筋肉あるし。スタンドだって強いし。三白眼だけど、それがまたクールでキケンな感じで魅力的だし。そして僕のこと大好きだからな。僕もソルベのこと大好きだけど、二人の気持ちを比較したらソルベのほうが蟻一匹分くらい勝ってると思うんだ。モチロン何億光年のうちの蟻一匹だから、たいした差じゃあないんだけど。

 みんな誤解してるみたいだから言っておくけど、僕とソルベはデキてないからな。恋人なんてあまっちょろい関係でまとめないでくれよ。僕とソルベは二人で一つ。ソルベの全ては僕で僕の全てはソルベなんだ。ソルベとジェラート。こんなにピッタリな名前はないだろ?僕が考えたんだ。褒めてくれてもいいぜ。

 あ、そういえば一昨日ソルベがプロシュ「うるせぇぇぇえええええ!!人が本読んでるときに後ろでいつまでも喋ってんじゃねーよ!クソ!クソ!大体話なんか聞かねぇって言っただろーが!ソルベと食いもんのこと以外で話はねーのかテメェはよォ!ムカつくぜぇぇ〜〜〜!!」

「ヘイギアッチョ、本真っ二つに引き裂いてるぜ。仕方ないだろ、ソルベがいないんだ。暇」

「だったらいつもみてーに寝てりゃいいだろうがよォ〜!」

「そんな寂しいこと言うなよギアッチョ。『思わず涙…。現役女●高生が描くリアルな恋。多くの女の子が共感した男と女の感動のラブストーリー』なんてサムイ本より興味あるだろ?」

「ねぇよ!毛一本ほどの興味もねぇよ!てか人の好みまで口だすなホモサピエンス!テメェはアンナベッラがどんな気持ちでフォッシネを追いかけたと思ってんだ!アンナベッラはなぁ!自分が余命十ヶ月しかなくてフォッシネと結ばれても幸せになれないってわかってたんだよ!それでも…それでも…!」

「泣くなよ、僕が悪かった。ギアッチョにそこまで想ってもらえて二人とも喜んでるさ」

「クソっ……クソ!どうしてアンナベッラは死んでしまうんだ……しかも病気じゃなくて交通事故に巻き込まれて死んだんだ!二人は結婚の約束もして、アンナベッラの腹の中には赤ん坊もいたってのに……!」

「大丈夫だ。安心しろ。その作者、アンナベッラのモデルだが……いまは三児の母だ。しかも相手は超一流企業の跡取り息子。玉の輿ってやつだ」

「………………は?」

「大体死んだ人間が話なんか書けないだろ。全部フィクション、口から出任せ、嘘の塊さ。どうして煽り文なんて信じるんだよ」

「……クソ…クソクソクソクソクソ!!俺のこと騙しやがったな!ふざけんじゃねーぞクソ女!ブチ割ってやろうかってんだ!」

「うわ馬鹿だ」

「生きててよかったなアンナベッラ!フォッシネと平和に生きやがれぇぇえええええ!!!」

「だからフィクション……まあいいや」




オチなんて知らないエンド。
---------------
我が家のジェラートは一人称僕のおしゃべりさん。

前へ|次へ

日記を書き直す
この日記を削除

[戻る]



©フォレストページ