山崎烝の新選組日記
□我、本領を発揮するの事
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・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・って、何で俺も一緒なんだ??
俺はふと疑問に思ったが、
「なあに、一蓮托生だ」
と永倉さんが悪びれもせず、明るく笑った。
俺は関係ないだろうが!!
とは言え、この人が無茶しないか心配な為、不承不承なれど付いていく事にした。
男は大坂から共につるんでいる破落戸(ごろつき)どもと、結局は縁を切れずに、この飯屋に入り浸っているらしい。
その破落戸どもは、特に何の思想も持ち合わせていない、遊び人達が寄り集まっただけの惰弱な集団で、
どうも大坂で悪名高い新選組の名を語って、色々悪さをしていたらしい。
だがそれにも飽きて、京まで足を伸ばし、出稼ぎの様に小さな悪事を働いて、
憂さ晴らしをしているような自堕落な奴らだ。
すぱん!!と音高々に、永倉さんが勢いよく襖を開け、中でだらだらと酒を飲んでいた男達の部屋に上がり込んだ。
「な・・・・なんや、てめぇ・・・・・!!」
永倉さんの勢いに飲まれ、反応らしい反応もできなかった男達を一瞥し、
永倉さんはある男へと視線を向けた。
「・・・・・・・へ、お前が永倉新八か・・・・・・確かに俺に似ず、色男じゃねぇか・・・・」
永倉青年は端正な顔を青ざめつつも、もう既に覚悟はできている様に、ぐっと唇を噛み締めていた。
「おめぇ・・・・・大坂の旅籠屋の娘、お久を知っているな?」
青年が力強く頷くと同時に、永倉さんはその男を殴り飛ばした。
「永倉さん!?」
あまりにも突発的な行動に、俺まで驚いてしまった。
更に殴り掛かるかと思い、止めようとしたが、永倉さんは怒り狂ってなど居らず、
あっけらかんと明るい笑顔を閃かせていた。
「ま、今回はこれくらいで許してやるぜ」
「な・・・・・んで・・・・・俺は・・・あんたの名前を語って・・・・・」
「へ・・・・おめぇらの小せぇ悪事で穢(けが)れる程、俺の名は安くはねぇぜ」
・・・・・・・・・・・・・永倉さん!!!
不覚にも、俺は一瞬感動してしまった・・・・!!
すると永倉さんは、突然懐から金を出すと、永倉青年の足下に放り出した。
見ると、なかなかの大金だ。
「これもって、大坂へ帰れ・・・・・・」
「あんた・・・・・・・」
「お久ちゃんと赤ん坊が、お前の帰りを待ってるぜ・・・・
俺の名を語って手に入れた女なんだろ?ちゃんと幸せにしてやれよ・・・・」
あ・・・・・・・ああ・・・・・
『兄貴いぃいぃぃいいぃぃいぃ!!!』
その場にいた破落戸全員が、涙を浮かべて声を上げた。
「わっ・・・・・な・・・・なんだよ、てめーら・・・!!」
「あ・・・兄貴と呼ばせてくれ!!」
「あんた、男前だ!!俺達はあんたに付いていくぜ!!」
何だか良く分からんが、破落戸どもの琴線に触れたらしい。
感動の面持ちで、永倉さんを取り囲んでいる・・・・・。
まぁ、あんな粋な事をされたら、そりゃ男として惚れるわな・・・・・・。
って、俺にはそんな趣味ないから!!
「そうか・・・・・・じゃあ、てめーら全員、俺が面倒見てやる!!付いて来い!!!」
「兄貴いぃいぃぃぃい!!」
「よし!!それじゃ、みんなでこれから親睦を深めるため、島原へ行くぜ!!」
「やっぱりそれかぁあああぁああ!!!」
俺の飛び蹴りが、永倉さんの背中に炸裂した事は、言うまでもない。
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