ONE PIECE(シャンクス長編)
□海と赤い君
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「はぁ――どうしてお前はじっとしていられないんだ」
「だって無人島ってわくわくしない? じっとしていろっていうほうが無理!」
あの後ミナミは、ユウの必死の制止も聞かずに1人で森に入っていった。
ユウは絶対に砂浜から動かないつもりでいたが、あたりも暗くなり、1人でいるのも1人で行かせるのも不安になって、結局ミナミと一緒に探検をすることにしたのだった。
「お宝とかないのかな」
「そんな非現実的なものがあるわけないだろ」
「そうかなー」
そんな会話をしながら小一時間歩いたところで、森はぷっつりと途切れてしまった。
かわりに、また一面に砂浜が広がっている。
「元の場所に戻ったのかな?」
「いや、たぶん島の反対側にまわってきたんだと思う」
ユウが指差した先には、淡い光をはなっている満月があった。
それは先ほどの場所にはないものだった。
「何もなかったねー……残念だなぁ」
がっくりと肩を落とすミナミとは対照的に、ユウは心底安心した。
あのミナミの癖を見て無事でいられたのは初めてなのだ。