恋一小説続き物

□黒崎先生の事情11
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蒼白い月の光が、色の抜け落ちた肌をいっそう白く照らしていた。
「ハァァァーー!」
虚空を見上げて、息を吐き出すと、それは毒気のように辺りに広がった。


「見つけたぞ!」
「黒崎一護!!」
突然一護には解らぬ鳴き声を上げながら次々に躍り出た黒い影に周囲を取り囲まれた。
「ぐるるる」
一護は怯えて後ずさる。
黒い服に身を包んだ者達は、長い刀を威嚇するように一護に向けて構えられた。
「ガアァァァーーーー!!!」

一護が叫び声を上げると、空気さえ震える咆哮に怖じ気付いた何人かが堪えられず刀を下げた。
一護は戦う本能のまま走りだす。
「うあー!」
「ぎゃっ!」
「馬鹿者、隊を乱すな!!」
黒い服達は存外脆く、一護の尾や角に触れると簡単に壊れた。

「ウオォォァォアアァーー!!」
一護が腕を振ると赤いものが沢山弾ける。
それでも黒い人影はワラワラと湧いては一護に襲い掛かった。
多勢に無勢、一護を囲む包囲が少しずつ狭まっていく。
「この!化け物!!」
ザクッ
一護の尾に深く刀が突き刺さる。
見るとそいつは他の黒いばかりの人達と違って、色が混じっている、見るからに強そうだ。
「アアアア!!!」
激しい痛みに一護は悲鳴を上げて悶える。
痛みの元凶を絶とうと、するが尾からそいつは頑として離れようとしない。
「ギャァアアア!!!」
「今だ!!」
「追い詰めろ」
「頭を狙え」
後ろに気をとられていると前からも斬撃を浴びせられた。
一護の体からは夥しい血が流れ、足下には血溜まりが出来る。
沢山の黒い人影に掴み掛かられて、一護は引き倒された。
見上げた先に月光を浴びて、切っ先が輝く。


「やめろ!てめえら一護に何しやがる」
赤い猿が大声で叫ぶと、黒い人影を掻き分けなんとか一護に近付こうとする。
「一護!!」
「れん…じ…?」
だが無情にも恋次の目の前で刃は降り下ろされた。
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