恋一小説続き物

□プラセボ〜石田君の場合〜
1ページ/6ページ

石田雨竜は上機嫌で台所に立っていた。
元は訳の解らないインテリア、何故か理科の実験用のフラスコや生き物の瓶詰めなどが置かれていたキッチンは二人が結婚、石田としては否定したいところだが、をしてから無駄な物を取り除かれ機能的な正に石田の城と成っていた。


本日は週に一度の特売日、ザエルアポロに車を出させて、大量に食材を買い込み自家製冷凍食品を作成中なのだった。
特売日に買い込むので節約になるし、チンするだけなのでこうしておけば、生活能力のないザエルアポロを夜勤の日に独りにしても安心なのだ。
「ふふふ、完璧だ!」
後は冷まして小分けにして冷凍するだけ、石田は出来映えに満足し微笑んだ。

しかし余りに料理に夢中になっていたため、彼の存在をすっかり忘れていた。

ブチッ
「痛いっっ」
顔に掛かる長さに伸ばしているサイドの髪の毛を不意に一房掴まれると凄い力で引っ張られた。
「何するだ、君は」
振り向くと、引っこ抜かれた髪を何本も指に絡ませ、ご満悦そうにザエルアポロが立っていた。
「ふふふ〜これ何だか解る?」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ