短編小説

□黒崎一護の上手な飼い方
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夕暮れの住宅街、学生服姿の派手なオレンジ頭の青年はふらふらと家路に着いていた。
彼は訳あって普通の高校生と、魂のバランサー死神代行という二足の草鞋を履いていた。
ここ最近まで長い死闘が続いたせいで学生業が疎かになり、入学時割とよかった成績が下降線を辿っている。
これでは駄目だと今日のテストのために普段以上の勉強対策をしてきた、そのお陰でなんとか今日は手応えを感じられた、きっと結果も満足の行くものだろう。
しかし今回は試験勉強期間に限ってメノスだのヒュージだのが連発して現れ、ただでさえ少ない一護の睡眠時間を削ってくれた、ここ一ヶ月は満足に寝た記憶がない。
「てか、テスト中にも出るとか反則だろう…」
目の下に大量の隈を作った一護は歩くのにも疲れて電柱に手をついた。
三日に分けてのテスト最終日に昼間からメノスがメインストリートを歩き回り、プラスやら潜んでいた雑魚虚やら果ては普通の人間まで襲いだした。
あの巨体で電線を何本も切り停電を起こしもした、調度英語の放送を使った聞き取りテストの時で、一護は復旧までに倒して帰ってくると言う離れ業をやってのけたのだった。
「死ぬかと思った…英語が」
しかしそれも終わり、明日から振替休日も入れた連休だ、啓吾がどこか行くとか言っていたが多分帰ったら当分起きない自信がある。
死神代行は休めないが昼間は寝貯める事が出来るだろう。
「はぁ…」
何時までもここで休んで居ても仕方がない、一刻でも早く帰って休む方がいいだろうと、顔を上げると、その時道の先にに輝く二重の障子が現れる。
普通の人間には見えない扉が静かに開くと白い羽織りを翻して、一人の死神が現世に降り立った。
「白哉!!」

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