短編小説

□恋次誕生日SS (長編設定)
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何時もの様に恋次のアパートで二人、過ごして居ると、インターホンが鳴った。
「誰だ?こんな時間に」
一護が首を捻る恋次が玄関の扉を開けるのを遠目から見ていると
「よー」
パンクスタイルにツンツンに立てた黒髪
「檜佐木先輩!?どうしたんすかこんな時間に」
檜佐木修兵の突然の訪問だった。
二人が仲が良いのはあの後いろいろ聞いて知っているが、一護が知る限り恋次のアパートに訪ねて来るのは初めてだった、恋次の様子から予定にもない訪問らしい、どうしたんだろうと思って見ていると目があってしまった。
「すぐ帰るから邪魔はしねぇよ」
言葉とともにニヤニヤとされなんだか気持ちが悪かったので、自分も腰を上げると恋次のすぐ後ろまで近づいた。
「ほれ、誕生日プレゼント」
「え?!」
「あ!!」
いろいろ世話になってるからよ、と檜佐木の差し出したプレゼントの包みを見て二人とも驚かされる。
「恋次お前今日誕生日だったのか!?」
「わ…忘れてた」
「オイオイ」
俺は反射的に恋次の部屋の時計を見るともうすぐ夜の7時に成るところだった。
本人が忘れていた誕生日を一護が解る筈もなく、7月にガッツリ祝ってもらった時に聞くべきだったと後悔してももう遅い。
一護がおろおろし出したのが解り、檜佐木が呆れた顔をする。
「しょうがねぇなお前ら…これアクセ着けるように改造頼まれてたやつだが貸してやるよ」
「え?や、ちょっと」
ともう一つのでかい紙袋を押し付けられる。
悪いと思い返そうとするが
「じゃあな頑張って奉仕しろよ」
意味深な言葉を残して嵐のように帰って行ってしまった。


「なんだよ、恋次今日誕生日だったなら二人とも休みだったんだしどっか出掛けるとか有ったじゃねぇか」
「いや、本当忘れてて」
本当に度忘れしていたらしく、恋次は苦笑いを繰り返す。
ここで恋次が謝るのも変な感じだが檜佐木が知っていて自分が知らなかった事が一護は悔しくてならない。
「くっそ、やられっぱなしで酷い恋人みたいじゃねぇか!!」
「いいっていいって、今度の休みにどっか行こうぜ」
「解った約束な!」
しかしそれでは誕生日祝いでは無くなってしまう。
自分はやって貰ったのに、なんだかやはり納得がいかなかった。
「檜佐木先輩なにくれたんだろな?」
がさがさと恋次がプレゼントを破くと中からバンダナが出てきた赤と黒の柄で恋次に似合いそうだ。
なんだか益々悔しい、そしてだんだん悲しくなってくる。
一護が何となくしょげているのが解るのか、何時もなら祝ってくれないと自分から騒ぎそうな恋次が気を使ってくる。
「そっちは何が入ってるんだ?」
檜佐木に押し付けられたまま返せなかった物だが、確かに中身が気になった。
そう言えば何なんだろうか?
恋次に言われて袋を開けてみる。
「??なんだこれ?」
中には黒い布の塊が入っていて判然としない。
一護は仕方なく手を突っ込んで引っ張り出してみる。
「なん…だと!?」
「うそ…だろ!?」
広げて見るとそれは、檜佐木によって過激にカスタムされたメイド服だった。
恐る恐る袋の中を覗くと更に猫耳と尻尾も有るようだ


とっても可愛いメイド服を掴んだ手がガタガタと震えた、これを一護に着ろと言うのか、想像するだけで意識が遠退く。
しかしきっと恋次は喜ぶだろう、それはもうとっても
そして今はこれしか恋次を喜ばす方法はない。
「ご奉仕する…にゃん…」
涙ながらに一護は呟いた。
「い、一護無理しなくても」
「お、俺だってこのくらいヤってやる!!」


その日恋次のアパートには可愛いらしい涙目にゃんこが現れたという
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