恋一小説続き物

□黒崎先生の事情3
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午後の受け付け時間も終わり。
今日の診療もトラブルなく終了しようとしていた。
「はぁ」
一護は何度目かのため息を付き机に突っ伏した。
ここ最近恋次が来なくてどうも調子がでないのだ。
あれだけ好きだ好きだと迫っておいてあっさり飽きたのかと思うと腹が立つ、それだけの事だと思うのだが。
『患者さんにまで最近元気ないとか言われたり、何故俺が悩んでんだ、あいつなんか…あいつなんか右手がわりなんだし』
ぱらぱらとさっきまでチェックしていたカルテをめくる。
そうだと思う、恋次が来ないから溜まってるんだ、恋次が来ないから欲求不満で…
「それもどうなんだ俺」
ガンッと机に頭を打ち付けた。
自分の考えに真っ赤になった顔をしばらく上げられそうにない。
『恋次がいけないんだあいつがいろいろエロい事するから』
一護は独りで青くなったり赤くなったり百面相をしていた。
「一兄、恋次さんのアパートに会いに行けば?」
片付けをしていた妹達がそんな兄の様子を見兼ねてそう言った。
「恋次くん一人暮しでしょ何かあったら大変だよ」
初めて来た時も一人で風邪をこじらせて倒れてたし、と遊子が付け加えた。
「そうか…そうだな」
意外に真面目で頑張り屋な恋次の事、また一人で無茶とかして倒れているのかもしれない。
一度そう言われるとなんだか心配になってきてしまう。
「俺ちょっと行ってくるな!」
一護はもしものためにと診察鞄も持ち出して、出かける準備を始めた。
「明日お休みだし帰って来なくても大丈夫だよ、お兄ちゃんもたまにはお友達の所にお泊りとかして楽しんで来たら」
なんにも気付いていない様な遊子にニコニコしながら言われてしまう。
「いい事言うじゃん遊子、そうそうゆっくりしてきなよ一兄」
夏梨はどこまで気付いているのか、思わせぶりな表情をしている。
「いや、帰るから」
何故帰らない前提で話を進めるのか、からかう妹達を置いて家を出た。


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