恋一小説続き物

□黒崎先生の事情5
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ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン、ピンポーン…
絶対にセールスマンとかではない鳴らし方だ。
終いには、扉を手で叩き始め
「一護ー一護ー、帰ってるんだろ?出て来てくれ一護ー」
窓から覗くと家の周囲をうろうろしながら大声で叫んだりしている。
「一護ーーー!!!」
「うるせー近所迷惑だろーが!!!」
二階から怒鳴り返すと、恋次はびっくりしたように大きな身体を縮こまらせた。
「あ、いや悪い」
「……待ってろ」
一護は起き上がると玄関へ急いで下りる。
扉を開けると恋次が複雑な顔をして立っていた。
「入れよ…」
「一護、髪が濡れてる」
恋次を見たらイライラが復活して来てしまった。
一護が睨み付けると恋次は触ろうと伸ばしていた手を引っ込めた。
「一護、コレ」
一護は忘れていた荷物を恋次に渡され無言で受け取った。
「……」
二人とも気まずい空気のまま階段を上ると一護の部屋に入った。
一護が振り返らずに立っていると
「一護!!」
おもむろに床に座ると恋次が額ずいた。
「すまない!!」
「土下座すれば俺が許すと思ってんじゃねぇだろうな」
一護は下げられた紅い頭を見下ろして言ってやった。
「そんな事…でも俺には謝る事しか出来ねぇから」
何故恋次が謝るのか、グリムジョーの行動に恋次も関わりがあるのかとも勘繰ってしまう。
「どうゆうつもりだったんだよ?」
腕組みした一護は地を這うような声音で言う。
「?」
「俺が帰らなきゃ、みんなで乱交パーティーでもするつもりだったのかよ?」
怒鳴りつけられて、恋次は焦った様に弁明し始めた。
「ちっちがう!!グリムジョーと会ったのだって偶然だし、あいつそんな事言ったのか?」
違うんだ一護ーと追い縋るが、恋次の言葉なんて耳に入らない。
グリムジョーに言われた事ばかりが思い出された。
「誰が、誰が…恋次のセフレで、誰が男無しじゃ駄目だって」
一護は怒りでぶるぶると震えた。
「違う!違うんだ!!グリムジョーは違う奴と間違えて」
一護の眉間のシワがさらに深くなる。
「どうして俺がそんな奴に間違えられなきゃならねぇんだ!あ!?」
一護の全身から黒いオーラが立ち上る様な錯覚
「そ、それは一護が可愛いから」
「ふざけるなよ」
一護は恋次のポニーテールをむんずと掴むとベッドに引きずって行った。

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