恋一小説続き物

□黒崎先生の事情9
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一人フリーズしている一護をどう捉えたのか恋次は慌てて言い訳を続けた。
「悪かった、でも別に約束破った訳じゃなくてまだ明かり着いてたから起きてんのかって見てただけなんだ」
もちろんすぐ立ち去る積もりだったと恋次は言い募る。
恋次の言葉で一護は再起動した。
『な、なんだそこのごめんかよ』
一護は内心ホッとした。
「なんで家の前に居たんだ?」
「え!あ、いや…たまたま通り掛かったんだ。一護の家の前に居た訳じゃねぇ」
「そっか…」
一護は恋次がもしかしたら会いに来てくれたのかと多少は期待していたのだが。
「ならなんでさっき話したくないって言ったんだ?」
一護が何度も呼び止めたのに、恋次は一護と話しなんてしたくないと叫んで逃げたのだ、どうしても悪い方に捉えてしまいたくなる。
「う、いや…ハハ、追い掛けられたから逃げただけで…」
恋次が笑ってごまかすのが一護を不安にさせる。
その不安が本当は聞きたくない事を口にさせてしまった。
「…檜佐木さんって人のが良くなったのか?」
一護は出来るだけ普通に話そうと思ったが、どこか不自然になってしまう気がした。
「なんでまたそうなるんだ」
一護は緊張しながら聞いたのだが恋次は、はぁーと息をついて疲れた様に脱力する。
そのまま情けない声で言った。
「…先輩は関係ねぇ、俺が好きなのはお前だけだ」
恋次答えは前と変わらなかったが、一護は素直に受け止められなかった。
「信じられねぇな、いつ店を見てもあの檜佐木さんて人とイチャイチャしてるしよ」
「いつ俺が先輩とイチャイチャしたよ!!……?」
まったくの侵害と恋次は叫んだ、ふっと何かに気付き
「お前…俺の店に来たのか?」
「べ、別にたまたま。たまたま通り掛かっただけだ」
今度は一護が口ごもり焦る番だった。
一護は焦って赤くなった顔を見られないように立ち上がって恋次から距離をとった。
確かに駅前にある恋次の店は買い物等で通らない事はないが、わざわざ覗く必要はない。
一護は恋次と話さなくてはお店を何度も尋ねていたのだ、そのたび楽しそうにしている二人を見てそのまま帰ってしまっていた。
このまま恋次と檜佐木が付き合う方が自然で、似合っているのではないかと思い悩みながら
「……」
「なんだよ!!」
焦った様子の一護を見ながら恋次は檜佐木の言葉を思いだしていた。
『引く』って言うのはこうゆう事もありなのかと、何となく思い付いたまま一護に尋ねてみる。
「一護お前…檜佐木さんに嫉妬してる…とか…?」
「なっ!!?」
一護は自分でも気付いていなかった図星をさされて、顔がほてっていくのを感じた。
鏡を見なくても自分の顔がみっともなく赤くなっているのが解る。
なんて事はない檜佐木と恋次が一緒のところを見てムカムカするのは、檜佐木に嫉妬しているからだ。
それを恋次に指摘されるとは、一護は恥ずかしさに身もだえするようだった。
「いや、悪い冗談だ冗談、そんな訳ねぇよな」
恥ずかしさで一護の手が震えるのを恋次は怒っていると勘違いし、焦ってペコペコと謝ってきた。
指摘されるまで気付かなかったが、一護は恋次を檜佐木に盗られたくないのだ、その方が自然だと思いながら受け入れられない。
『そんな事になるなら恋次の変態を受け入れた方がましだ』
「そう…だよ」
「え?」
「そうだって言ってるだろ!!俺は檜佐木って人に嫉妬してる、悪いかよ!!」
まるで怒鳴り付ける様に恋次に告白した。
「そ、それって、それって一護…一護!!」
嬉しさの余り恋次は一護に思いのまま飛び掛かる。
「うわっ!!」
恋次はそのまま空き地の地面に一護を押し出す。
「嫌だ!!辞めろ!!離れろー変態!!!!」
一護〜と言いながらキスをしようと迫ってくる恋次に一護は二人の身体の間に足を入れて抵抗した。
「なんで抵抗するんだ、俺達両想いだろう?一護〜」
確かに誰かに盗られたくないくらいには好きだと認めよう、だから両想いは両想いかもしれないが
「うるせー離れろ、こんな空き地とも公園ともつかないところで行為におよんでたまるか!!!!」
一護からしたら恋次は明け透け過ぎる、男同士だという事も余り意に解していない、気にもしていない。
「そんな、いくら俺でもここで何かするつもりは…」
「ないのか?」
恋次の答えに少し期待して抵抗する動きを止めるが

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