空と天候達

□標的5
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夜空の試練を終えた琥珀は医務室のベッドで眠っていた。
かなりの気力を消費したようでなかなか目を覚まさなかった。
そして1日経った。



「んっ……こ、こは…」



琥珀が目を覚ますとそこは見慣れた医務室だった。



「そ……か、俺…っ!!あったまいってぇ…」


琥珀が寝返りをしようとすると、



ぎゅっ



「?なんだ……!!」



何かが琥珀の服を掴んでいた。
そして琥珀は自分の腕の中のぬくもりに気づいた。



雅「すぅ……すぅ……」
「雅……」



そこにはぐっすりと眠りについていた雅がいた。
琥珀が雅を見て一瞬微笑んだが、



「!!これは……涙の痕…」


雅の目のしたには涙を流した痕が残ってた。
そして雅の口が小さく動いた。


雅「と……さ…」
「!!」



雅の発した言葉に琥珀は驚き苦虫を噛んだような表情を零した。
琥珀が雅の頭を優しく撫でていると、



翔「起きたんだ琥珀さん」
「!翔…」



水と薬をお盆に乗せて医務室に入って来た。
翔の姿を見て琥珀は雅を起こさないように起き上がった。



「俺…どのくらい寝てた?」
翔「1日くらいだよ。はいこれ飲んで」
「?これは…」


翔が渡してきたのは2粒の錠剤だった。



翔「これはこの時代の琥珀さんが毎日起きて飲んでた薬だよ。琥珀さんに言われて作ったんだ」
「そうなのか…悪いな翔」
翔「どうってことないよ。
どちらかと言えば僕は頭脳派だから」
「ははっ、綱吉の子供とは思えないな。まぁ綱吉が考えるのが苦手ってことから翔が頭よくなったってのもあるかもな」



琥珀は錠剤を1粒のんだ。
すると、



「っ!?ゴホッゲホッ!!に、苦ッ!!」



あまりの苦さに琥珀はむせた。



翔「あぁ言い忘れてたね。僕の作る薬は苦いようになってるんだ」
「さ、先に言ってくれ……苦…」
翔「フフッ良薬は口に苦しって言うでしょ」
「いい笑顔で言いやがって……」



琥珀はもう1粒の薬も苦みに耐えて飲んだ。



「っあぁ〜苦い……」
翔「はいよく飲めました」
「赤ちゃんをあやすように言いやがって…」


琥珀がじとっ…と翔を見ると翔は安心したように笑った。



翔「でもよかった…10年前の琥珀さんが試練に耐えられて壊れなくて」
「あぁ……あれはさすがにきつかった…正直、あのまま逃げたいとも思った。
でもさ、逃げようとすると綱吉達や雅、翔の顔が浮かんでさ…ここで逃げられねぇなって思えたんだ」
翔「琥珀さん…」
「俺には守らなきゃいけないものあんだからって」
翔「ほんと…琥珀さんはすごいね…
この時代の琥珀さんもあの試練を超えることはできたんだけど、起きて2、3日は混乱状態だったんだ」
「!!」
翔「それは大変だったんだよ。骸さんがいなかったから幻覚で眠らすこともできなかったし、雅は琥珀さんの姿を見て雅は雅で混乱して…
結局、父さんと母さんが力で琥珀さんを寝かせたんだけどね」
「はは…あの2人に叩きのめされたら俺も動けないな」



翔と琥珀が話していると、



雅「んぅ……」
「あっ起こしちゃったか雅…」
雅「と…さ…?
っ!!父さん!!大丈夫ですか!!」


琥珀の姿を見て雅は飛び起きた。
しかし、


グラッ


雅「っ!」
「あぶねっ!!」



めまいを起こしたのか雅の体がふらつきとっさに琥珀が支えた。



「大丈夫か雅」
雅「は、はい……」
翔「全く、いい加減学習しなよ。自分の持つ炎以外の特殊弾を使うと貧血症状が出るってこと」
雅「す、すみません……」



翔が呆れたように注意すると雅は申し訳なさそうに誤った。
そんな2人のやり取りを見て琥珀は微笑んだ。



翔「はい、薬飲みなよ」
「うわ…すっごい色だな」



翔が出してきたのは何ともまずそうでいかにも苦そうな色をした飲み物だった。



雅「だ、大丈夫ですよ…このくらい」



雅が飲むのを拒もうとすると、



翔「へぇ…?僕の言うことに逆らうんだ…?」
雅「っ!!」
「(うわ…なんか超モードの綱吉が黒い笑みを浮かべている絵面にしかみえねぇ…)」


翔の表情を見た琥珀は引き攣った笑みを浮かべた。



翔「琥珀さん、雅押さえてて」
「ごめんな雅」



琥珀は翔に言われた通りに雅を押さえた。



雅「なっ!!父さん…!?」
「あーこれも雅のためだ」
雅「ひ、酷いです!!」



雅が力の入らない体で必死に抵抗するものの琥珀の力にはかなわず、



翔「さぁ、覚悟しなよ」
雅「っ…!!」
「(ご愁傷さま…雅…)」



翔の手によって薬を飲まされたのだった。
雅はあまりの苦さに再び気絶したのだった。





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