本。
□season3 毎朝の戦い
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ルーナが来て三日目の朝。
いつものようにベッドを出ようとしたところで、引きとめられてまた戻る。
昨日から素直に甘えてくれているという事がすごく嬉しくて可愛くて、……正直、我慢にもそろそろ限界が近付いてきているのを…もちろんルーナは知らない。
恥ずかしいのか、いつも服の裾をちょいとつまんで来る時の顔と言ったら……。
「…ヴィー?」
少し頬に空気をためて、不機嫌そうに手を前に突き出す。
訳すと「抱いて」である。
……俺は心の中で「どっちの!?」と突っ込みを入れて、しばらく脳内にはびこるヨコシマな考えにムチ打ち「いやいや、まだ早い。まだ待て」と自分の中に残った理性に命令を送る。
もちろんこの場合、ルーナが言っているのは「だっこ」の方である。
もちろん解っているし理解してるけども、…解ってやっているのかと言うその可愛い表情は一体どうしたもんかと
「ヴィー?」
「ああ…いや、なんでもない。」
これを一瞬のうちに考えていたのかと思うとすさまじいが、俺は取り敢えず素直にルーナのお願いを聞き入れる事にした。
…ああ、でもこれまた違った欲が…。
「…ヴィー、変。」
ルーナの怪訝な表情を見て反省した俺は「ですよね」と小さく呟いてルーナを抱き上げ、そのままリビングにあるソファの上に乗せた。
…そして俺の視線はルーナの胸元に行く。
「…ルーナ、ボタン取れてるよ。」
「!!」
瞬時に顔を真っ赤にしたルーナが、バッと手で胸元を抑えた。
…あああ、せっかくさっき抑えた欲がッ!!
「新しい服取ってくるから」
そう言い残して、俺は再度寝室に戻って洋服ダンスを開けて、ため息をついた。
元々俺自身が一人で生きて行こうと決め、持って来るものは自分の部屋にあった服を十着程と後はほんの少しの私物のみ。
ほとんどを向こうに置いて来て締まっているが、生活に困る事は無かった為頓着して何かを街に買いに行くなどの事は今までの八年間では一度もなかった。
無かったのだが…
「…さすがに男物をルーナに着せ続けるわけには行かないな…俺の為にも。」
洋服ダンスを漁って出て来た大きめのシャツを着せるしかないなと決めて、小さく覚悟を決めてリビングに戻った。